2012 Fiscal Year Annual Research Report
乳児期における時間概念の発達プロセスの解明:身体性による発達の促進
Project/Area Number |
12J05064
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡崎 善弘 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 時間概念 / 乳児 / 身体性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,乳児における時間概念の発達について調べることである。従来の研究では,課題をさせた時の判断理由に焦点を当てていたため,言葉を話せない子どもは研究の対象から外されていた。そこで,申請者は乳児でも実験可能な実験課題を提案・作成し,乳児における時間概念の発達の解明を試みている。本年度は,まず時間概念の発達に焦点を当て,2つの実験を並行して行った。 実験1:小型の電車がトンネル内を走行する場面を呈示し,開閉可能な3箇所の扉の内,どこの扉に視線を向けているか調べることで,乳児が時間概念に距離と速さを考慮しているか検討した。本研究で用いた課題により,従来の研究で言及されていた年齢よりも早い時期から発達していることが示唆された。 実験2:乳児が作業量と作業に必要な時間を対応づけているか検討した。具体的には,離散しているブロックが短時間で組み上がる映像と相応の時間で組み上がる映像を用いた。現在までに得られている結果では,短時間でブロックが組み上がった場合において,乳児の注視時間がもう一方の映像よりも長い傾向であった。この結果は,生後約1年未満で作業量と作業に必要な時間を対応づけていることを示唆した。 このように様々な課題を用いることで乳児における時間概念の発達を立体的に捉えることができており,これまで不可能だった乳児の時間概念発達について新しい知見をもたらすことが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験に用いる課題内容の調整に時間を多く要することを想定していたが,予備実験とそのデータに基づいた修正を短期間で終えることができたため,前期で妥当性の高い課題を作成することができた。また,現在までに得た結果から,想定した仮説に近い傾向を示しており,本研究は順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在,作成した課題を用いて調査を進めているが,課題を修正して調査を再開した直後であるため,調査に参加した乳児の数は少ない。現在参加を呼びかけており,サンプル数を増やしている。
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Research Products
(6 results)