2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J05066
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
幸節 健 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | フラグモプラスト / 細胞板 / 極性 / 細胞質分裂 |
Research Abstract |
植物細胞の分裂面決定は、主に微小管からなるPPB(プレプロフェーズバンド)と、フラグモプラストが重要な役割を担っている。PPBは、細胞周期M期前に細胞表層に一過的に形成される。このPPBが形成された場所が将来の分裂面になると考えられている。また、細胞質分裂装置であるフラグモプラストが適切な場所で形成され、PPBによって規定された位置へ拡大することも厳密に制御される必要がある。当年度は、フラグモプラストに焦点をしぼり研究を行った。フラグモプラストの微小管は、重合、脱重合の起こりやすいプラス端と、より安定なマイナス端という極性を持っており、二つの微小管束はお互いにプラス端側で噛み合っている。このフラグモプラストの微小管に沿って、細胞板小胞が分裂面に運ばれ、細胞板が形成される。このフラグモプラスト微小管の分裂面での噛み合わせの意義を調べるために、微小管束化因子であるMAP65に着目した。ヒメツリガネゴケのゲノムには、5つMAP65がコードされており、そのうち3つのMAP65が原糸体で発現していることを見いだした。これらのMAP65は全てフラグモプラスト微小管の赤道面に局在し、誘導型RNAi系を用いて機能を阻害したところ、フラグモプラスト微小管の形成初期には異常が観察されないが、徐々に極性が失われ、最終的に崩壊した。また、極性が維持されている時期においても細胞板が形成されないことが観察された。これらの結果から、フラグモプラスト微小管の極性の維持に、MAP65による分裂赤道面での微小管の噛み合わせが必要なことが明らかになった。また、細胞板小胞の分裂面の集積および融合には、フラグモプラスト微小管の極性が必要というよりは、むしろ、MAP65によって束ねられた微小管領域が必要であることを示唆している。この研究によって、フラグモプラストの極性維持の機構の理解が進んだと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分裂面の研究について、分裂面が変わる細胞を回収し、次世代シーケンサーを用いてトランスクリプトーム解析を行なった。現在までに分裂面が変わる細胞においてmRNAが一過的に上昇する遺伝子を多数同定出来ており、順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンサーで同定した遺伝子およそ100個について、機能を調べるために相同組換えを利用したノックアウト、局在を調べるために蛍光遺伝子のノックインを行なう。
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Research Products
(1 results)