2012 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞における微小管生成・ダイナミクス制御機構の解明
Project/Area Number |
12J05102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中岡 由貴 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 微小管 / 誘導型RNAi |
Research Abstract |
RNAiは遺伝子の機能を理解する上で強力な手段であり、動物細胞では高解像度での顕微鏡観察を組み合わせた大規模なRNAiスクリーニングにより特定の細胞内イベントに関わる遺伝子が網羅的に同定された。 一方、植物細胞では高解像度での顕微鏡観察とRNAiを容易に組み合わせられる系が存在しなかった。我々は高解像度での生細胞観察が容易であり、ゲノム配列が解読されているヒメツリガネゴケを用いて誘導型RNAi系の確立を試みた。9個の遺伝子についてRNAiを試し、そのすべてにおいて誘導的にRNAiが効くことを確かめた。これにより、植物細胞においても大規模RNAiスクリーニングを行える基盤が確立した。この結果を『ThePlant Cell』に発表した。 次に確立した誘導型RNAi系を用いて微小管の生成・ダイナミクス制御機構の解明を目指した。微小管は細胞内において非常にダイナミックであり、細胞分裂や細胞の成長などさまざまな細胞内機能に必須である。しかし主要な微小管形成中心である中心体がない多くの植物細胞ではどのように微小管が生み出されているのかはほとんど分かっていない。私は全反射顕微鏡を用いることにより細胞表層付近のダイナミックな微小管の動きを捉えることに成功した。さらに微小管阻害剤を用いて微小管を壊した後、薬剤を除去することにより、微小管生成過程を捉えることにも成功した。また、動物細胞や酵母を用いた研究から明らかにされている、微小管ダイナミクス制御遺伝子のホモログを標的とする誘導型RNAiコンストラクトおよび遺伝子破壊コンストラクトを作製し、形質転換体を得た。今後これらの形質転換体を用いてさらに研究を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り1本1本の微小管ダイナミクスを追える条件を決定することが出来た。また、動物細胞や酵母を用いた研究から明らかにされている、微小管ダイナミクス制御遺伝子のホモログを標的とする誘導型RNAiコンストラクトおよび遺伝子破壊コンストラクトを作製し、形質転換体を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに微小管のダイナミクスだけでなく、微小管の生成過程を捉えることにも成功した。そこで今後は微小管生成機構に重点をおいて研究を進めていく。微小管生成に関わることが予想される遺伝子についてRNAiノックダウン株を作製する予定だが、形質転換体の作製には3ヶ月要する。この時間をすでに作製している微小管ダイナミクス制御因子のRNAiノックダウン株および遺伝子破壊株の表現型の解析に当てることで効率的に実験を進めたい。
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