2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞における微小管生成・ダイナミクス制御機構の解明
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12J05102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中岡 由貴 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 微小管 / γ-チューブリン / ヒメツリガネゴケ |
Research Abstract |
微小管は細胞内において非常にダイナミックであり、細胞分裂や細胞の成長などさまざまな細胞内機能に必須である。しかし主要な微小管形成中心である中心体がない多くの植物細胞ではどのように微小管が生み出されているのかはほとんど分かっていない。植物細胞を用いて微小管生成機構を調べることで、植物に独自の、又は動植物で保存された新たな微小管生成機構が見いだされる可能性がある。本年はこれまでに確立した誘導型RNAi系と微小管1本1本のダイナミクスを可視化できる系を用いて、微小管生成に関わる因子のスクリーニングおよび微小管生成が起こる場所の探索を行った。 微小管生成に関わると予想される5個の因子をそれぞれRNAiし、微小管生成速度を比較した。微小管生成速度の比較は、微小管阻害剤により細胞内のすべての微小管を脱重合させた後、再形成される微小管の数を測ることで行った。その結果、γ-チューブリンをRNAiしたときにのみ、微小管生成が大幅に遅れた。また、生成する微小管の大部分において、微小管生成箇所とγ-チューブリンの局在が一致したことから、γ-チューブリンが間期においても微小管生成に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。 次に、微小管生成がどこで起こるのかを調べるために、5つの主要なオルガネラを蛍光ラベルした株を作製した。この株を用いて、微小管再形成実験を行い、微小管の生成箇所とそれぞれのオルガネラの場所を比較した。細胞質内のランダムな位置から形成している様子が観察されたことから、少なくとも、ヒメツリガネゴケにおいて微小管は特定のオルガネラから生成されているわけではないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、進化上保存された微小管生成因子の同定と解析を行うことができた。微小管生成に重点を置いて研究を進めた結果、微小管生成には少なくとも3パターンの微小管生成機構があることが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、進化上保存された微小管生成因子の同定と解析を行うことができた。今後は、微小管生成の様式を調べる。現在共同研究により、微小管生成過程のシミュレーション進めている。これにより、微小管生成の新たなモデルを提唱できる可能性がある。
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