2013 Fiscal Year Annual Research Report
頭足類単眼胚が浮き彫りにする眼の発生メカニズムの共通性と多様性
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12J05107
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
吉田 真明 国立遺伝学研究所, 生命情報研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 進化発生生物学 / 初期発生 / 眼原基 / 形態形成 |
Research Abstract |
ヒメイカにおいて正中に眼が1個しかできないCyclops(単眼)胚が希に現れることから、その初期発生において単一の眼原基が左右に分割して2つの眼が形成されることが示唆されている。昨年度において、薬剤による阻害実験から、1-Azakenpaurone処理によるWntシグナリングの阻害によって単眼胚が誘導されることを見いだした。また、ヒメイカ胚盤期中期において、脊椎動物の眼原基形成に関与している転写因子群のうちPax6, Otx1/2, Six3/6が眼原基で発現していることを確認し、眼の形成の初期に関わっている遺伝子の共通性を見いだした。本年度は、単眼胚における神経系の発生異常を可視化するため、蛍光抗体染色法による条件検討を行った。ファロイジン染色によって分化した神経系を可視化できることを確認した。また、1-Azakenpaurone処理法を検討した結果、ゼリー層を除くことなく薬剤を含む海水に浸漬するだけで単眼胚を誘導できることを確認した。この手法によって死亡率がほぼゼロになり、安定して単眼胚を得ることができるようになった。このサンプルを用いて、単眼胚において神経系の発生段階のトレースを行っている。本結果は、単眼胚の形質異常について、他の動物と比較を行う上で必須な解析であり、単眼胚の共通性を議論する基礎となるデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度においては、悪天候により実験材料であるヒメイカの採集が困難な時期があったことから、予定の研究内容より進行が遅れた。また、作成した抗イカPax-6抗体が蛍光免疫染色では有効でなかったため、代替となる神経系マーカーの探索を行った結果、眼原基の可視化の完了までは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は平成25年度において得られたデータを基に、単眼胚における神経原基の抗体染色解析を進展させ、この結果をもとに論文執筆を進める。単眼胚そのものを用いた遺伝子発現解析には、サンプルの数の面で難点があることから、残りの時間は比較発現解析と、他の動物との比較進化解析に重点をおいて進める。
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Research Products
(4 results)