2012 Fiscal Year Annual Research Report
動機づけられる対象の違いが目標達成時の認知制御の負担に及ぼす影響
Project/Area Number |
12J05193
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 崇志 京都大学, 教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 自律性 / 認知制御 |
Research Abstract |
今年度は動機づけの自律性と自我枯渇に着目した研究を行った。動機づけの自律性はある行動をとる価値が自己の内面と統合されている程度をいう。自律性は、研究計画における「動機づけられる対象の違い」に対応する概念である。また、自我枯渇はひとたび認知制御を働かせることによって後続の場面で認知制御が阻害されてしまっている状態を指し、「認知制御の負担」が反映された概念である。今年度は研究計画にある実験研究のみではなく、自律性や自我枯渇に関連した調査・実験研究も同時に実施した。 後藤・楠見(2013)で報告した調査からは自我枯渇の蓄積によって就労者のバーンアウト傾向が高まることを、他の調査からは自我枯渇の蓄積によって学生の疲労が高まることを示唆する結果が得られた。また、実験的手法を用いて、自我枯渇には動機づけの補完効果のみでは解決できない要因が含まれているかの検討も行っている。これらの研究により、自我枯渇は動機づけの低減のみから引き起こされるのではなく、疲労のような、蓄積しうる何らかの要因が存在していることが示唆された。この研究成果は、認知制御の負担を推察する概念として、自我枯渇に着目することの妥当性を補強するものである。 また、Goto & Kusumi(in press)で報告した実験では、質的側面として動機づけの対象に着目し、報酬を用いて課題中に提示される刺激への接近反応を強化することによる自我枯渇への影響を検討した。その結果、報酬により刺激への接近反応が強化されると、認知制御課題後の自我枯渇が低減される結果が得られた。計画書1年次に検討予定であった「目標-行動の単純な対比構造の中で、特定の行動に動機づけられることで認知制御の負担を軽減可能である」という仮説は、心理実験によって実証されたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画書で予定していた1年次の目的は達成されており、加えて、当該研究を実施するうえで必要な概念の妥当性の検証も行われている。また、それらの研究成果は、国内学会誌に日本語論文1本が、海外の学会誌に英語論文1本が採択されている。これらの進捗具合から、研究は計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度にひきつづき、認知制御は感情・動機づけによる行動の方向づけと高次目標との整合性に応じて働くとする自己制御の仮説モデルを、社会・認知心理学の実験手法と脳画像の解析を組み合わせて検証する。 脳画像解析に関しては、所属講座では機器を所有していないため、神経科学を専門とし、脳画像解析の機器を所有している他部局の研究者と共同で研究を行う。
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Research Products
(6 results)