2012 Fiscal Year Annual Research Report
リンゴの自家不和合性反応における花粉側因子の機能解析と自他認識機構の解明
Project/Area Number |
12J05202
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤井 舞 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リンゴ / F-boxタンパク質 |
Research Abstract |
近年、多数のリンゴ自家不和合性花粉側S因子(花粉S遺伝子)候補SFBB (S locus F-box brothers)が同定された。しかしこれら全てのSFBBが真の花粉側因子として機能するかどうかについては、現時点で不明である。本研究では、AFBBの生物学的機能解析と生化学的機能解析を行い、全てのAFBBが真の花粉S遺伝子であるかどうかを明らかにする事を目的とした。 <リンゴ形質転換体を用いたSFBBの生物学的機能解析> AFBB遺伝子を、アグロバクテリウム法を用いてリンゴの栽培品種『きたろう』に導入した。バラ科果樹の形質転換は可能だが効率は高くないので、一度に1000以上の葉切片にアグロバクテリウムを感染させる大規模な実験を反復して行った。その結果、数系統の形質転換体を獲得することができた。 <組換えタンパク質を用いた相互作用解析> SFBBが真の花粉側のS因子であるならばSBPI (S-RNase binding protein 1)やCUL1 (Cullin 1)と共にE3複合体を構成し、非自己S-RNaseのポリユビキチン化に関わることが示唆される。リンゴ概要ゲノム情報をもとにリンゴSBP1 (MdSBP1)とリンゴCUL1 (MdCUL1)を花粉RNAから単離し、pull down assay用に組換えタンパク質を作出した。MdSBP1とS-RNase、MdCUL1については相互作用を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
S-RNase binding protein1(SBP1)はナス科において自家峯和合性への関与が示唆されていたが、ナス科以外の植物種で機能解析の報轡はなかった。今年度、リンゴ(バラ科)で初めてSBP1ホモログ(MdSBP1)を単離・解析し、ナス科のものと同様にS-RNase結合能も持つことも見出し、投稿論文にまとめることができた(Minamikawa et al.,印刷中)。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点で、SFBBとS-RNase、MdSBP1の相互作用は確認出来ていない。SFBBは大腸菌で作出した組換えタンパク質であるため、本来の立体構造を有していない可能性が考えられる。今後はコムギ胚芽を利用した無細胞発現や、SFBBを導入した形質転換体を作出することで、より本来の立体構造に近づくようなタンパク質を作出してpulldown assayを行う。
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Research Products
(5 results)