2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J05257
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩崎 純衣 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハト / メタ認知 / 比較認知 |
Research Abstract |
自身の内的な認知活動を客観視しその認知活動自体を情報処理の対象とする内省的な認知能力、いわゆるメタ認知能力はヒト以外の動物にも分有されていることが示唆されてきている。しかし鳥類におけるメタ認知研究はまだ数少なく、また肯定的な結果においてもメタ認知以外の種々の手がかりを利用して行われたという解釈が可能である。メタ認知以外の手がかりとは、たとえば過去の強化履歴や反応時間など、公共的に得られる情報がそれにあたる。これらメタ認知以外の手がかりを利用している可能性は、メタ認知判断を課題遂行前に行わせることによって低くすることができると考えられている。予見的メタ認知はハトにおいて遅延見本合わせ課題を用いて検討され,否定的な結果が得られている。しかしこの課題では多くの作業記憶容量を必要とするためメタ認知を行う余地がなかった可能性がある。そこで本年度の本研究では、ハトが、画面に呈示された3つの画像に正しい順序で反応する系列学習課題において、ヒントが出る場面と出ない場面を課題に進む前にその既知度に応じて適応的に選択するかを検討した。最初の訓練では既知度の異なる系列課題を経験させ、それらはスタートアイコンによって弁別することができた。その後、別の場面においてヒントを要求できるアイコンとそうでないアイコンを経験させた。テストでは、それらを組み合わせた。もしハトが自身の既知度を認知できるとすれば,既知度が高い課題時より既知度が低い課題時に多くヒントを要求するだろうと予想される。テストを行ったところ,4個体中2個体でそのような結果が得られた。本研究は、ハトが予見的なメタ認知を行うことが可能であることを世界に先駆けて示したものであり、比較認知科学における極めて重要な知見である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度、系列学習を訓練したハトが、ヒントが出る場面と出ない場面を、課題に進む前にその既知度に応じて適応的に選択することを実験的に示した。この研究成果は国内外の学会で発表し、国際誌に投稿する準備も整いつつある。またハトが系列学習課題遂行中に自身の確信のなさを判断することを示した研究を、国際誌Animal Cognitionに公刊した。また当初の予定に加え子どもを対象としたメタ認知研究も新たに開始し、すでに興味深い結果が得られている。本研究は申請時の計画よりも広がりを見せており、これは当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの申請者の研究では、鳥類におけるメタ認知の詳細な検討を行い、鳥類、特にハトにおいてもその能力を有することを実験的に示すことができた。今後は、自身の心的な状態への積極的なアクセスを必要とするエピソード記憶について検討する。また子どもを対象とした研究も併行して進め、国際誌への投稿準備を整える予定である。
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Research Products
(4 results)