2012 Fiscal Year Annual Research Report
オルタナティヴなき政治空間の生成:移行期ロシアにおける政党政治の展開をめぐる研究
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12J05263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
油本 真理 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アカウンタビリティ / 選挙マシーン / 民主化 / 制度形成 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は、(1)博士論文、(2)論文集への寄稿、の二点にまとめられる。博士論文については、今年度は論文の仕上げ作業に取り組み、3月末に論文を提出した。博士論文の内容はどちらかといえばエリートに比重を置いたものであるが、地方レヴェルにおける動向を主要な研究対象としていることから、本研究の研究課題であるところの一般市民とエリートとが交錯する場面をも視野に入れるものとなった。 本研究課題との関連においてとりわけ重要なのは、体制転換直後の社会経済的な混乱状況の中で、住民に対して安価な公共サーヴィスを提供する役割を果たした地方行政府の政治的な意義が増し、一種の選挙マシーンとしても機能するようになったという点である。この発見は、今後の研究の出発点ともなるものと考えられる。第二の研究成果となるのが、2013年3月に勤草書房から出版された『民主化と選挙の比較政治学変革期の制度形成とその帰結』への寄稿である。同論文はロシアにおける民主化の失敗をめぐる議論を振り返ることを目指したものであり、選挙を通じた民意の表出機能やインフォーマルなアカウンタビリティなどといった本研究の主要な課題にもつながる問題領域である。本年度は、地方レヴェルにおける住民と行政府の関係、そして、アカウンタビリティを軸として、ロシア政治の現状を比較の視座に位置付ける可能性の模索などを含め、今後の研究計画を進めていくうえでの基盤を固める年にもなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた英語論文の執筆には手が回らなかったものの、それ以外の課題については達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もこれまでと同様の計画に基づいて取り組む予定であるが、外国語でのアウトプットにも力を入れて研究を進めていきたい。
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Research Products
(1 results)