2013 Fiscal Year Annual Research Report
散逸項をもつ非線形シュレーディンガー方程式の解の幾何学的構造の研究
Project/Area Number |
12J05312
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮路 智行 京都大学, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 偏微分方程式 / 分岐解析 / 非線形シュレディンガー方程式 / 精度保証付き数値計算 |
Research Abstract |
二次元円盤領域におけるLugiato-Lefever方程式の定常解の分岐問題は, 縮約理論により, 二次の非線形項をもつ二次元ベクトル場の分岐問題に帰着する. 前年度の研究により, このベクトル場にはLL方程式に特徴的な分岐(Hopf, ホモクリニック分岐)が現れることが示された. しかし, 先行研究と完全に対応させるにはこれだけでは不足である. より高次の非線形性の考慮やより高次元のベクトル場の分岐問題に帰着させる必要があると考えられる. 受入教員である岡本久教授(京都大学数理解析研究所)から紹介していただいた, Craikの力学系とPehlivanの方程式に対する計算機援用解析を行った. これらは二次の非線形項をもつ三次元ベクトル場である. このような力学系はたとえば流体力学分野でNavier-Stokes方程式の厳密な特殊解を与える方程式, あるいは三波共鳴を記述する方程式などとして現れる. 特に三波共鳴は前段で述べたことと関連する. Craikの力学系に対して局所一意的な周期軌道が存在することの計算機援用証明を与えた, 周期軌道が双曲型であれば局所一意性は従うが, それよりももっと広い領域で一意性を示したことを強調したい. また, Pehlivanの方程式において周期倍分岐カスケードによりカオスに至ることを数値シミュレーションで確認し, いくつかの周期倍分岐が実際に起こりうることの計算機援用証明を与えた. これらの研究はA. D. D. Craik教授(University of St Andrews, Scotland)ならびに岡本久教授との共同研究として行い, 現在投稿中および投稿準備中である. さらに, Craikの方程式にdampingを加えた方程式の解析を行い, Hopf分岐で生じた周期軌道がホモクリニック分岐を起こす様子が数値シミュレーションで観察された. LL方程式との類似が見られ, 大変興味深い. また, これらの方程式の解析を通して修得した手法はLL方程式の解析にも活かせると期待でき, 大変意義深いものであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は二次元全平面におけるLL方程式の空間局在的な定常解の存在問題の計算機援用解析について研究する予定であったが, それについて直接の進展は得られていない. しかしながら, 今年度行った二次の非線形性をもつ保存系の方程式に対する計算機援用解析の手法は, LL方程式でも役立でられると期待できる.
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Strategy for Future Research Activity |
Lugiato-Lefever方程式の空間局在的な定常解の存在問題と分岐問題を研究する. 問題はある種の構造をもつ四次元のベクトル場に対するホモクリニック軌道の存在問題に帰着する, これに対して精度保証付き数値計算法をもちいた計算機援用解析を行いたい. 現状, ホモクリニック軌道の精度保証付き計算はそれ自体が難しい問題であるため, 基本的な理論の構築から行う必要がある. まずは自励系ベクトル場となる空間-次元の問題から考察して理解をふかめ, 二次元の問題に着手したい.
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Research Products
(9 results)