2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J05315
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
松田 真悟 千葉大学, 大学院・医学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | D-セリン / 恐怖 / 性差 |
Research Abstract |
【研究の結果・内容】 1.雄マウスを用いた先行研究で新薬候補としてのD-セリンが恐怖消去トレーニングの効果を短期間促進することを報告していた.今回,雄マウスにおいてD-セリンは恐怖消去促進効果を示さなかった.さらに,D-セリンにおける再発阻害効果も確認されなかった. 2.性周期を考慮しない時,雌マウスにおいてD-セリンは恐怖消去促進効果及び再発阻害効果を示さなかった.一方,性周期毎にその効果を調べた結果,検体数が少ないため統計的有意差は認められなかったものの,発情期においてD-セリンの再発阻害効果を示す傾向が認められた. 3.恐怖記憶には性差が認められなかったものの,雌の方が再発予防に必要な恐怖消去トレーニング日数が長いことが明らかとなった. 【意義・重要性・発展性】 1.これまでの我々の結果と一致しない結果となったが,飼育環境が両研究で異なっており、飼育環境がD-セリンの効果に影響を与える可能性が示唆され,環境要因を考慮した薬物治療の研究へと発展する可能性を持つ. 2.薬物の治療効果に性差が存在する可能性及びその治療効果に性周期が影響を及ぼす可能性を示す結果を得ており,個別化医療を意識した治療薬の使用へと発展する可能性がある. 3.恐怖関連疾患において男性よりも女性の有病率が高いが,その背景として発症よりも治療効果の性差が重要である可能性が示唆された.この可能性を示した研究は存在しないため,非常に、新規性が高い.今後,この結果について分子機構による裏付けなど詳細に検証する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画にあった雄マウスに対するD-セリンの再発予防効果の検討が終了している。また、雌マウスに対する研究は採用年度二年目から開始する予定であったが、想定していたよりも早く雌マウスの環境確立に成功し、雌マウスに対するD-セリンの消去促進効果及び再発予防効果に関する研究を実施している。さらに、得られた研究結果を詳細に解析し、恐怖記憶の性差について新たな知見を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,研究計画書に記載した通り,雌マウスを用いた研究を実施する.さらに,既存の治療薬を用いて同様の研究を遂行する. 一方,3.研究実績の概要にも記載したが,恐怖記憶には性差が認められなかったものの,雌の方が再発予防に必要な恐怖消去トレーニング日数が長いことが明らかとなった.この知見は新規性及び発展の期待が高いため,これを基に恐怖消去トレーニングの性差について分子機構を明らかにする研究も実施する予定である.
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Research Products
(11 results)