2012 Fiscal Year Annual Research Report
先進トリチウム増殖材用リチウム過剰メタチタン酸リチウムに関する研究
Project/Area Number |
12J05331
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
向井 啓祐 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 核融合 / 材料 / 結晶構造解析 / トリチウム増殖材 / 高温化学 |
Research Abstract |
本研究では、核融合研究における重要な課題の1つとして位置づけられているLi過剰メタチタン酸リチウムを研究対象とし、本材料の量産性や、成立性実証に資する基礎物性の解明を研究目的に設定した。本年度の研究は、研究実施計画で予定していた通り、非化学量論組成のメタチタン酸リチウムの結晶構造解析や高温蒸発特性の評価を実施した。 【結晶構造】これらの組成が異なる試料の結晶構造及び不活性ガス中での高温蒸発特性を評価した。X線回折及び中性子回折を用いた結晶構造解析を実施した結果、Li過剰メタチタン酸リチウムは単斜晶型β-Li2TiO3の結晶構造を有していることを実験的に示した。 【蒸発特性】示差熱熱重量同時測定により、化学量論組成とLi過剰組成試料の蒸発特性を測定し、これらの試料の化学組成を分析した結果、Li過剰原子が存在している試料からは顕著なLi蒸発速度が観測された。Li過剰原子がすべて蒸発した後の試料からはこの顕著な蒸発挙動が観測されなかったことから、この顕著な蒸発はβ-Li2TiO3の不安定なサイトに存在するLi過剰原子の蒸発に起因すると考察した。 本研究により、ブランケット使用温度における蒸発特性を明らかにするとともに、Li過剰メタチタン酸リチウムの化学組成と高温蒸発特性の相関を明らかにした。結晶構造や蒸発挙動はトリチウム放出特性やLi損失過程の理解に不可欠、核融合炉条件下での材料の特性や挙動を予測する上で重要な知見であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究では、予定していた結晶構造解析と高温蒸発特性についての研究を実施し、高温での挙動やそのメカニズムを示す重要な知見を得た。ただし、平成24年度に得られた結果は論文投稿が完了していないため、平成25年度に論文の作成・編集・投稿を進めてゆく。
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Strategy for Future Research Activity |
・平成24年度に得られた結果を取りまとめ、論文執筆や学会誌への投稿を進める。 ・申請書にて予定していた「高温還元特性の評価とメカニズム」に関する実験を行い、高温還元雰囲気中での安定性を明らかにする。 ・これまでに得られた結果を整理し、成立性に資するデータや各種メカニズムの整理を行う。議論に不足しているデータを補完し、最終的に燃料サイクル確立に向けた提言をまとめる。
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Research Products
(3 results)