2012 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンサーで検出された癌細胞ゲノム・エピゲノム変異の統合的情報解析手法
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12J05406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 絢子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | がんゲノム / トランスクリプトーム / エピゲノム / ChIP-Seq / 統合情報解析 |
Research Abstract |
6種類の肺腺癌細胞株を用いたゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノム情報の収集と一次解析をおこなった。これらのデータは、今後癌細胞のゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノム情報を統合するパイプラインを確立するために極めて重要であると考えられる。 〈体細胞突然変異の探索と仕訳〉 6種類の肺腺癌細胞株の全エキソームシークエンスから、samtools、GATK等のツールを用いてゲノム変異を抽出した。また、得られたゲノム変異のうち、主にEGFRやTP53のような既知の肺腺癌関連遺伝子にあるものを中心に用いて、各細胞株のグループ分けをおこなった。また、先行研究で解析した日本人肺腺癌臨床検体のエキソームシークエンスの結果と比較をおこない、細胞株と臨床検体で同一部位にあるゲノム変異をリスト化した。 〈遺伝子発現データの解析〉 mRNA-Seqの結果から、肺腺癌細胞株におけるトランスクリプトームのパターンを解析するために、各細胞株で特異的に遺伝子発現が大きいまたは小さい遺伝子を抽出した。それらをパスウェイデータベースKEGGやREACTOMEを用いて各パスウェイ上にマップし、遺伝子発現が変化しているパスウェイをリスト化した。 〈ヒストン修飾系のChIP-Seqデータの収集・解析〉 6種類の肺腺癌細胞株において、7種類のヒストン修飾系およびRNA polymerase IIの抗体を用いてChIP実験をおこなった。RealtimePCRで既知の領域におけるエンリッチを確認した後に、Illumina HiSeq2000を用いてChIP-Seqデータを収集した。ピーク抽出プログラム漁CSやシークエンスビュアーIGVを用いて、収集したシークエンスデータから各ヒストン修飾およびRNA Polymerase IIの結合を受けているゲノム領域を見つけ出し、細胞株間で比較をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
6種類の肺腺癌細胞株について、エキソームシークエンスおよびRNA-Seqのデータを用いて、ゲノム変異の抽出および遺伝子発現解析を一通りおこなうことができたから。 また、6種類の肺腺癌細胞株に対して7種類のピストン修飾系およびRNA Polymerase IIのChIP-Seqデータを収集できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、収集した肺腺癌細胞株の各種シークエンスデータについて、引き続き解析をおこなう。特に、ヒストン修飾系およびRNA polymerase IIのChIP-Seqの結果から癌細胞の転写制御異常パターンを抽出し、ゲノム変異や遺伝子発現との関連を明らかにする手法を確立する。 また、臨床検体でのRNA-SeqおよびChIP-Seqを計画していたが、並行して、解析対象の細胞株の種類を増やして、癌細胞のゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノムにおけるシークエンスデータの充実を図る。
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Research Products
(1 results)