2013 Fiscal Year Annual Research Report
次世代シークエンサーで検出された癌細胞ゲノム・エピゲノム変異の統合的情報解析手法
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12J05406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 絢子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゲノム / トランスクリプトーム / エピゲノム / 肺腺癌 / 細胞株 |
Research Abstract |
肺腺癌細胞株のゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノムシークエンスデータの収集および解析を引き続きおこなった。 〈ゲノム解析〉 肺腺癌細胞株のゲノムシークエンスから得た、一塩基変異、挿入・欠失、コピー数、染色体構造異常について、既知の癌関連遺伝子を中心に記述した。 〈トランスクリプトーム解析〉 各細胞株において平均よりも発現量が高い遺伝子および低い遺伝子について、癌関連遺伝子を中心にまとめた。さらに、染色体異常やスプライスサイト付近の変異による異常なトランスクリプトも抽出した。 〈エピゲノム解析〉 8種類のChIP-Seqデータに加えて、バイサルファイトシークエンスのデータを取得した。特に、プロモーターとエンハンサー領域について、各細胞株で平均よりも高いまたは低いDNAメチル化およびChIP-Seqパターンを示す遺伝子を抽出した。さらにChromHMMを用いてChIP-Seqデータから各細胞株及び各遺伝子のクロマチン状態を記述した。 〈統合解析〉 肺腺癌において既知の癌関連遺伝子を中心に、遺伝子発現・転写制御異常に関わるゲノム・エピゲノム変異について解析した。その結果、ゲノム変異によって遺伝子発現異常が起こっている遺伝子(STK11など)、DNAメチル化とゲノム変異のどちらかが遺伝子発現に影響している遺伝子(CDKN2Aなど)、DNAメチル化やヒストン修飾といったエピゲノムが関係している遺伝子(CDKN1Aなど)が見出され、遺伝子によって、発現異常に関連するゲノム・エピゲノム変異が異なることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
肺腺癌細胞株のゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノムシークエンスデータの収集および解析を完了し、癌関連遺伝子を中心に解析結果をまとめることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
肺腺癌細胞株ゲノム・トランスクリプトーム・エピゲノム解析データを用いて、遺伝子発現異常が見られる全ての遺伝子について、遺伝子発現・転写制御異常にゲノム・エピゲノム変異を詳細に解析し、パターンごとにグループ化する。 さらに、肺腺癌臨床サンプルのシークエンスデータと組み合わせた解析を行う。先行研究で行った日本人肺腺癌エキソームデータおよび、公開されているゲノム・トランスクリプトーム情報を用いて、実際に、細胞株のデータと臨床サンプルデータを統合する手法を構築する。
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Research Products
(3 results)