2012 Fiscal Year Annual Research Report
イネ白葉枯病菌タイプIIIエフェクターを用いた新奇な植物免疫機構の解明
Project/Area Number |
12J05437
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
石川 和也 近畿大学, 農学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | タイプIIIエフェクター / イネ白葉枯病 / イネ / E3ユビキチンリガーゼ |
Research Abstract |
これまでに、Xoo3222の標的因子としてE3ユビキチンリガーゼ活性を有すると思われるOsPUB44を同定している。OsPUB44がE3ユビキチンリガーゼ活性を有するか解析するために、inVitroにより自己ユビキチンガーゼ活性の測定を行った。その結果、OsPUB44はE3ユビキチンリガーゼ活性を有することが明らかになった。これまでに、Xoo3222はOsPUB44の酵素活性に重要なU-boxドメインに結合することが明らかになっている。そこで、OsPUB44のE3ユビキチンリガーゼ活性にXoo3222が及ぼす影響についてin vitroで解析を行った。その結果、Xoo3222はOsPUB44の活性を阻害することが明らかになった。これまでに、エフェクターが酵素活性に重要な部位に直接相互作用して、その酵素活性を制御するエフェクターは報告されていない。そのため、この機構は新奇のタイプIIIエフェクターによる植物病害抵抗性阻害機構であると考えられる。 これまでに、Xoo3222はOsPUB44のホモログとは相互作用せずに、OsPUB44特異的に相互作用することが明らかになっている。そこで、その特異性を明らかにするためにU-boxドメインのアミノ酸残基について解析を行った結果、8個のアミノ酸残基が他のPUBとは異なっていた。そのため、これらのアミノ酸残基を他のPUBのアミノ酸残基に置換し、Xoo3222との相互作用解析を行った。その結果、3個の変異体がXoo3222と相互作用を示さなかった。このことから、これら3個のアミノ酸残基がXoo3222との相互作用に重要であることが明らかになった。さらに、単子葉類、双子葉類を含めて系統樹を作成した結果、これら3個のアミノ酸残基を有するU-boxドメインは単子葉類にしか存在していなかった。このことから、これらは単子葉類特異的に進化したと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
エフェクターによる植物免疫阻害機構が順当に明らかになっており、その特異性も明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
Xoo3222がOsPUB44のU-boxドメインに相互作用することで、どのように活性を制御するのか解析を行う。 In VivoでのOsPUB44ミュータントとXoo3222との相互作用解析、およびOsPUB44ミュータントが免疫応答に及ぼす影響について解析を行う。 OsPUB44発現抑制体を作出し、植物免疫におけるOsPUB44の機能について解析を行う。 OsPUB44の相互作用因子を同定する。
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Research Products
(21 results)