2012 Fiscal Year Annual Research Report
振動励起分子の衝突素過程に関する速度論と動力学の融合研究
Project/Area Number |
12J05470
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河野 七瀬 広島大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 振動励起分子 / 分子内振動緩和 / レーザ誘起蛍光法 / 化学反応 |
Research Abstract |
研究代表者は,これまでの研究で2原子分子の化学反応に対する反応物の振動励起効果を明らかにしてきたため,本年度はさらに拡張し,多原子分子の反応に対する振動励起効果を明らかにすることを目的として実験を行った。さらに,複数の反応経路に対する反応物の振動励起効果も解明するため,3つの経路をもつNH_2+NO反応系を対象とし,以下のとおり実験を行った。 1.振動励起した反応物NH_2の振動準位選択的な検出およびCF_4による振動緩和の観測 観測セル内のNH_3/NO混合気にArFレーザ(193nm)光を照射し,NH_3の光解離により振動励起NH_2(υ_2≦11)を生成した。振動励起NH_2はA^2A_1-X^2B_1電子遷移にもとづくレーザ誘起蛍光(LIF)法により検出を行った。このとき,NH_2(υ_2)の振動準位間隔が同じ電子状態内で非常に近いため,異なる振電遷移が同時に励起してしまう可能性が生じたため,検出するLIFの波長を分光器を用いて選択する発光分光型LIF法により,振動準位選択的な検出に成功した。また,CF4の添加にともなう,振動励起NH_2の消失,および振動基底状態NH_2(υ=0)の濃度増加により,CF_4による高効率なNH_2(υ)の振動緩和を確認した。 2.生成物OHの検出および振動緩和剤CF_4の添加効果の観測 反応経路NH_2+No→N_2+H+OHから生成するOHはA^2Σ^+-X^2Π電子遷移にもとづくLIF法により検出を行った。また,CF_4の添加にともなう生成量の減少を観測した。これにより反応物NH_2の振動励起によりOH生成経路が加速されていることを実証することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに,予定していたNH_2(ν)およびOHの検出に成功し,さらに,NH_2(ν)の高効率な振動緩和剤であるCF4による反応物OHの減少も実証することができており,当初の目的である多原子系での反応物の振動励起効果および反応経路分岐比に対する効果を明らかにできたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,反応物の振動励起効果をより定量的に評価するために,反応経路分岐比の決定を行う予定である。そのため,反応NH_2+NO→N_2+H+OHでOHと同様に生成するH原子を2光子LIF法を用いて検出する。NH_3の光解離により反応物NH_2(ν)と等量生成するH原子,および反応により生成するH原子の濃度比から,OH生成経路の分岐比を決定することができる。さらに,CF4を添加し,反応物の振動励起が反応経路分岐比におよぼす影響を定量的に評価する。
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Research Products
(3 results)