2013 Fiscal Year Annual Research Report
振動励起分子の衝突素過程に関する速度論と動力学の融合研究
Project/Area Number |
12J05470
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河野 七瀬 広島大学, 大学院理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 振動励起分子 / 分子内振動緩和 / レーザ誘起蛍光法 / 化学反応 |
Research Abstract |
研究代表者は, これまでの研究で2原子分子の化学反応に対する反応物の振動励起効果を明らかにしてきた。そこで昨年度からはさらに拡張し, 多原子分子の反応に対する振動励起効果, 及び, 複数の反応経路に対する反応物の振動励起効果を解明するため, 3つの反応経路をもつNH_2+NO反応系を対象とし実験を行った。昨年度までに, 振動励起した反応物NH_2および生成物OHの振動準位選択的な検出に成功しており, また, CF_4による高効率なNH_2の振動緩和の結果, OHの生成収率が減少することを明らかにした。この結果は, 反応物NH_2の振動励起によりOH生成経路が加速していることを表わしている。本年度は, より定量的な反応物の振動励起効果を明らかにするため, 生成物であるH原子の観測を行った。 観測セル内のNH_3/He混合気にArFレーザ(193nm)光を照射し, NH_3の光解離により振動励起NH_2(v2≤11)及びH原子を生成した。H原子は2光子励起にもとづくレーザ誘起蛍光(LIF)法により検出し, 相対濃度の時間変化を観測した。さらに, NO添加条件下で観測したH原子の相対濃度の時間変化から, 添加していない条件下での時間変化を引くことで, NH_2+NO反応で生成したH原子の相対濃度の時間変化を観測した。濃度時間変化の解析の結果, NH_3の193㎜光解離で生成したNH_2とNOの反応系ではOH生成経路の収率がおよそ23%であることを決定した。室温状態ではOH生成経路の収率は1割程度であると言われてきたにも関わらず, 本研究で高い収率を示したことは, 反応物であるNH_2の振動励起がOH生成経路を加速していることを表している。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(2 results)