2013 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属触媒による連続環化反応を用いた多環式インドール骨格の構築と応用
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12J05601
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 顕 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | スピロインドール / パラジウム触媒 / 連続環化反応 / プロパルギルクロリド / 不斉反応 / 全合成 / Apparicine |
Research Abstract |
(1)パラジウム触媒による連続環化反応を用いた多環式スピロインドール類の合成 報告者は、昨年度開発したパラジウム触媒による四環性スピロインドール合成の反応機構を解明する目的で、反応の置換基効果に関する検討を行うとともに、反応が熱力学的に支配されている可能性について検証を行った。報告者が見出したスピロインドール合成反応は、主生成物として多環式スピロ環化合物を、副生成物として少量のジエン型スピロ環化合物を与える。環化条件下において、二つの化合物への相互変換は認められず、本反応は速度論的に支配されていることを確認した。得られた結果を踏まえて反応機構を提唱し、学術雑誌への論文の投稿を行った。一方、プロパルギルパラジウム錯体に対する反応において、一段階目の付加段階における反応の不斉化は未だ知られていない。初の不斉反応の開発を目指して、見出したスピロ環化反応の不斉化を試みた結果、SEGPHOSリガンドを用いた際に目的の四環性スピロインドールを52%eeで与えることを見出した。一方、副生成物として得られるジエン体は74%eeを示したことから、二段階目の反応の際にリガンドと基質のミスマッチが生じている可能性が示唆された。 (2)Apparicine基本骨格構築法の開発 既知のApparicine類の全合成経路は、合成の最終段階における環化反応に改善の余地が残されている。報告者は、誘導体合成にも適用できる簡便合成法の開発を目的として、パラジウム触媒によるインドリルプロパルギルクロリドの連続環化反応を用いたApparicine基本骨格の一挙構築法の開発に着手した。構造活性相関研究への展開を視野に入れ、鍵中間体となるプロパルギルクロリドを三つのシントンから導く収束的な合成経路を立案した。すでに鍵中間体の合成経路を確立し、現在連続環化反応の検討を行うためのスケールアップを行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パラジウム触媒による連続環化反応を用いた多環式スピロインドール類合成の不斉化おいて、中程度のエナンチオ選択性であることが課題として残るが、一段階目の付加反応におけるプロパルギルパラジウム錯体に対する初の不斉反応を見出したため。 また、Apparicine基本骨格構築法の開発に関して、環化前駆体の合成経路を確立することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
パラジウム触媒による連続環化反応を用いた多環式スピロインドール類合成の不斉化において、ジエン体を主生成物として得ることができれば、より高いエナンチオ選択性を達成できる可能性がある。現在、求核剤を加えない条件において、塩基やリガンドの詳細な検討を行っている。 Apparicine基本骨格構築法において、早急にスケールアップ合成を完了し鍵反応の検討に取り組む所存である。プロパルギルクロリドをはじめとする様々な中間体を検討することで、反応性に及ぼす影響を精査する必要がある。
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Research Products
(6 results)