2012 Fiscal Year Annual Research Report
肺疾患におけるRas-ERKカスケードの調節機構の解明とその治療に関する研究
Project/Area Number |
12J05613
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高野 晴子 千葉大学, 大学院・医学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 肺線維症 / 肺癌 / Ras-ERKカスケード / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
肺線維症についての解析 私達は、すでにBLM誘導性の肺線維症サンプルにおいて、DA-Rafの発現が有意に上昇することを見出していた。BLMで誘導される肺線維症は急性炎症期と線維化期に大別されるため、BLM誘導後の経時サンプルを用いて、DA-Rafの発現上昇および、Ras-ERKカスケードの活性化レベルを検討した。その結果、DA-Rafの発現は、線維化進行期に有意な上昇が見られた。これに対して、MEKやERKのリン酸化レベルは、DA-Rafの発現上昇と相補的に減弱が認められた。このことから、DA-RafがMEK、ERKの活性制御を介して、線維化の進行に関与する可能性が示唆された。そこで、DA-Raf-KOマウスにBLMを経気道的に投与し、肺線維症を発症させた。BLM投与後9日のサンプルを用いて組織学的解析を行ったところ、野生型マウスにおいては進行したポリープ型の線維化巣が優位であるのに対して、DA-Raf-KOマウスの線維化巣は肺胞壁に拡散した壁在型が優位であった。このことから、DA-Rafが線維化の進行に促進的に関与する可能性が示唆された。 肺癌についての解析 DA-Raf-KOマウスはB6系統においては生後1ヶ月程度で致死となるが、B6と129系統の交雑系では致死性が部分的に回避されるため、このマウスを用いて解析を進めた。B6系統のK-Ras-LA2マウスと129系統のDA-Raf-HTマウスを交配させ、K-Ras-LA2/DA-Raf-KOの作製を試みた。しかし、K-Ras-LA2マウスはホモで致死であるため、K-Ras-LA2/DA-Raf-KOマウスの作製は非常に困難であることが判明した。現在は、わずかに得られた個体を用いて解析しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DA-Raf-KOマウスを用いた肺繊維症モデルの病理を詳細に解析することにより、期待通りその糸口が見つかってきている。また肺癌モデルについては系統維持のきわめて困難なマウス同士の交配であるため解析には至っていないが、これも困難であることは予想された範囲内である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の方向性に大きな変更はないが、肺癌モデルの系統維持が困難であるため、DA-Raf遺伝子がX染色体上に存在することを利用して、雌のヘテロ接合マウスを解析に用いることも検討する。
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Research Products
(2 results)