2013 Fiscal Year Annual Research Report
肺疾患におけるRas-ERKカスケードの調節機構の解明とその治療に関する研究
Project/Area Number |
12J05613
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高野 晴子 千葉大学, 大学院医学研究院, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | 肺線維症 / 肺癌 / Ras-ERKカスケード / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
私たちのグループは過去に内在的なRas-ERKカスケードのドミナントネガティブアンタゴニストとしてDA-Rafを同定し、DA-Rafを特異的に欠損するノックアウト(DA-Raf-KO)マウスを作製した。Ras-ERKカスケードは、ブレオマイシン(BLM)誘導性の肺線維症に関与しているが、その調節機構は明らかにされていない。昨年度の解析から、DA-Rafは2型肺胞上皮細胞(AEC2)においてBLM誘導性の肺線維症にRas-ERKカスケードの抑制を介して関わっている可能性が示唆された。そこでDA-Raf-KOマウスを用いて、以下の事柄を明らかにした。(1)DA-Raf-KOマウスではwtマウスに比較して、BLMが誘導する好中球などの炎症性細胞の浸潤を多く認めた。(2)DA-Raf-KOマウスにおいて炎症性サイトカインの発現亢進を認めた。従って、DA-RafはBLMが誘導する炎症反応を抑制的に制御すると考えられた。BLMは肺胞上皮細胞を標的とし、さらにDA-RafがAEC2に発現しているので、ラットAEC2株(RLE-6TN細胞)を用いて、分子メカニズムについて明らかにした。(1)DA-Rafのノックダウン(KD)によりBLMが誘導する炎症性サイトカインの発現がさらに増強された。(2)この炎症性サイトカインの発現上昇はp38インヒビターによって抑制された。(3)近年の研究からp38シグナリングは、BLMが肺胞上皮細胞に誘導するSASP (senescence-associated secretory phenotype)において中心的役割を果たすことが知られているので、DA-RafとSASPについてさらに解析した。(4)RLE-6TN細胞にBLMを添加するとSA-β-galの活性上昇と細胞の扁平化が見られた。(5)DA-RafのKDにより、BLM誘導性のSA-β-galの活性上昇と細胞の扁平化はさらに増悪した。これらのことから、DA-Rafは38シグナリングの上流でRas-ERKカスケードを抑制することによってBLM誘導性のSASPを抑制的に制御すると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Plant homeodomain finger protein 11 promotes class switch recombination to IgE in murine activated B cells.2014
Author(s)
Ikari J, Inamine A, Yamamoto T, Watanabe-Takano H, Yoshid a N, Fujimura L, Taniguchi T, Sakamoto A, Hatano M, Tatsumi K, Tokuhisa T, Arima M.
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Journal Title
Allergy.
Volume: 69
Pages: 223-230
DOI
Peer Reviewed
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