2012 Fiscal Year Annual Research Report
紛争後社会における民主化・国家建設の取り組みと政治暴力の発生
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12J05622
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
田中 有佳子 (坂部 有佳子) 早稲田大学, 政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 紛争後社会 / 政治暴力 / 東ティモール / シエラレオネ / 民主化 / 国家建設 / 平和構築 / 選挙 |
Research Abstract |
本研究課題は、紛争後社会における政治暴力が、選挙制度の導入や国家建設のプロセスにおいて多発するという仮説を検証することを目的としている。より具体的には紛争が終結した後に観察される政治暴力という概念について先行研究を再検討し、暴力によらない政治的競争をめざしていても民主化、制度構築がもたらす政治的対立によって暴力が生み出されることを、複数のアプローチによって明らかにすることである。 第一に政治暴力のひとつに位置づけられる内戦のみに傾注していた先行研究を踏まえて、小規模の政治暴力について着目し、紛争後社会における政治暴力の概念に関して検討した成果を論文発表した。同論文では紛争後社会の期間について幅広く設定し、紛争終結直後から時間が経過するにつれて、政治体制、政治制度が人々に受容されていった場合に政治暴力の発生にどのように影響を及ぼすかを、多国間データを用いて実証分析している。本研究課題では主に紛争終結直後から10年経過するまでの期間を研究対象としているが、この検証からは、その間はいずれの政治体制や政治制度下においても政治暴力は発生しやすいという結果が得られた。 第二に本研究課題では、東ティモール及びシエラレオネという2つの国の政治暴力発生の有無の比較をすることとなっている。本年度はシエラレオネについて日本国内で入手可能な資料を中心に収集し、これまでの同国における政治暴力に関わる政治的背景について先行研究を調査した。そして、特にシエラレオネが内戦を終了した2001年以降の政治暴力の実態を調べるために、現地NGOの協力のもと調査を進めた。調査内容は、シエラレオネにおけるこれまでの政治暴力の有無における資料収集及び関係者へのインタビューであった。資料収集は主に地元新聞の検索によるものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、紛争後社会における政治暴力の概念についての分析と、国別の経験的分析を概ね予定通り進めることができたため、(2)とした。なお東ティモールの分析については、平成24年度以前に論文を発表しているので適宜情報のアップデートを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度はシエラレオネにおける政治暴力に関する分析を進め、平成24年度に行った調査をもとに論文を執筆する。そのうえで東ティモールにおける政治暴力との比較分析を進めることとする。
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Research Products
(4 results)