2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J05650
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
四之宮 佳彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 特別研究員(PD)
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Keywords | 平坦曲面 / Veech群 / リーマン面 / 正則族 / タイヒミュラー空間 / モジュライ空間 / タイヒミュラー円板 / フックス群 |
Research Abstract |
平坦曲面の自己アファイン写像を与える行列全体の成す群をVeech群という。Veech群はフックス群であり、Veech群に対応するオービフォルドはリーマン面のモジュライ空間へ正則かつ局所等長に埋め込まれる。この埋め込みに対応するリーマン面の正則族をリーマン面のVeech正則族という。 平成24年度はVeech群の性質を解明するために、リーマン面のVeech正則族及びその被覆の正則切断に関する研究を行い、正則切断の個数を底空間及びファイバーの位相型にしか依らない量で評価した。また、平坦曲面のユークリッド幾何的量とVeech群のフックス群としての型との関係を示す不等式を得た。これらの結果は平成23年度に与えた、「Veech正則族の正則切断の、ある条件を満たす平坦曲面の点による特徴付け」及び「フックス群の型とその元の成分との関係を表す不等式」を用いて証明された。今回与えることができた正則切断の個数評価は底空間の位相型に関して線形であり、非常に良い評価であるといえる。この結果はVeech正則族及びその被覆に対応する函数体上のディオファントス方程式の解の個数を評価したものとも解釈され、代数幾何学的にも重要な結果であるといえる。更に、ファイバーがコンパクトなVeech正則族の個数を評価すれば、この結果を利用して一般のVeech正則族の個数を評価できると期待できる。今回与えた不等式は平坦曲面の円柱分解から得られる量とVeech群の型との関係を、平坦曲面の位相型にしか依らない定数を用いて表示している。この結果は本研究の目的である種数2のリーマン面上のVeech群実現問題への応用が期待できる。なお、これらの結果は論文にまとめ既に投稿している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全てのリーマン面のVeech正則族およびその被覆に対して正則切断の個数評価を与えることができた。また、本研究の目的を達成するために有効であると期待される不等式を与えることができた。その為、本研究はおおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
リーマン面のVeech正則族の個数評価をファイバーがコンパクトな場合について与え、既に得られている正則切断の個数評価を利用し一般のVeech正則族の個数を評価する。その後、ファイバーが種数2のリーマン面である場合に限ってVeech正則族の幾何学的性質を明らかにする。その幾何学的性質から種数2の平坦曲面のVeech群の代数的性質を解明し、その応用として種数2のVeech群実現問題の解決を目指す。
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Research Products
(4 results)