2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J05718
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
吉村 正俊 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所・食品工学研究領域, 特別研究員(PD)
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Keywords | 病原性細菌 / 自家蛍光指紋 / 励起蛍光マトリクス / 生菌数定量 / 菌種判別 / 多変量解析 / PLS回帰分析 / 主成分分析 |
Research Abstract |
本研究課題では、(1)蛍光指紋による生菌数推定手法の開発、(2)蛍光指紋による菌種の判別手法の開発、そして(3)ファイバープローブによる多検体検査システムの開発、の3点を目的としている。 研究実施計画において、初年度では、目的(1)を達成することに主眼を置いた。具体的には、牛肉表面において一定時間毎に蛍光指紋計測および生菌数計測を行い、前者を説明変数、後者を目的変数として、PLS回帰分析によって、蛍光指紋から生菌数を推定するモデルを構築し、妥当な推定精度が得られることを明らかにした。現段階では菌種の判別までは行っていないものの、蛍光指紋計測によって、生菌数推定に必要なスペクトル情報が得られることが判った。 また目的(2)について、菌種判別手法の開発においては、各種細菌の平均的なスペクトルデータを参照蛍光指紋として定義し、判別アルゴリズムの中で使用する。これに関連して、そもそも各種細菌の自家蛍光指紋には、その種類を判別しうる情報が含まれているのかどうか?の点は、本課題の核となる部分であり、早急な検証が必要であると考えられた。そこで、3ヶ年に亘る本課題のフィジビリティ・スタディとして、目的(2)に関する先行調査を行った。具体的には、食中毒に関連する代表的な5種類の細菌を例として、蛍光指紋測定のための妥当な実験プロトコルの検討を行い、各種細菌の自家蛍光指紋の主成分分析により、菌種の判別が可能であることを明らかにした。 さらに目的(3)について、3年目に計画していた多検体計測システムのプロトタイプを構築した。具体的には、分光蛍光光度計・ファイバープローブ・XY自動ステージを組み合わせ、2次元方向へのプローブ走査および連続的な蛍光指紋計測を行えるようにしたものである。これによって、マイクロプレートに接種した複数サンプルの蛍光指紋計測を自動化し、測定における省力化および時間短縮が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3ヶ年に亘る本研究課題の3つの目的(「9.研究実績の概要」を参照)に対して、(1)蛍光指紋による生菌数推定手法を開発し、(2)代表的な病原性細菌の自家蛍光指紋の主成分分析によって菌種判別が可能であることを示し、そして(3)光ファイバープローブを用いた多検体計測システムのプロトタイプを構築した。初年度の目的を概ね達成するとともに、2年次・3年次に計画している研究にも適宜着手し、遂行している。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度においては、引き続き、目的(1)「生菌数定量」および目的(2)「菌種判別」の達成度を上げるために研究を進める。具体的に、目的(1)では対象とする菌種を増やして生菌数定量手法の開発を行い、目的(2)では各種病原性細菌の参照蛍光指紋を蓄積するとともに、そのスペクトルデータを基にして菌種判別アルゴリズムの開発を行う。 また、目的(2)に関連する問題点として、測定時における細菌の生理的条件やサンプル調製方法によって自家蛍光指紋に差異が生じうる、ということが判った。これについては、目的(2)の研究を遂行していく中で、より再現性が得られる実験プロトコルの検討を行う。
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Research Products
(4 results)