2012 Fiscal Year Annual Research Report
元素の特性の複合化に基づく革新的な低酸素誘導因子調節薬の開発
Project/Area Number |
12J05784
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川口 真一 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 創薬 / 低分子阻害剤 / prolyl hydroxylase / 虚血 |
Research Abstract |
本研究の目的である低分子prolyl hydrohyrase(PHD)阻害剤を取得するために、まず、化合物スクリーニング系の検討を行った。レポーター細胞を用いて、ルシフェラーゼ発光により活性を検出する系を構築した。詳細に検討した結果、PHDタンパク阻害既知である塩化コバルトをポジティブコントロールとして、ビークル群と比べ十分発光の検出が認められる評価系を構築した。次に効率のよい化合物スクリーニングを行うために、コンピューターを用いた化合物のPHDタンパクとのドッキングシミュレーションを検討した。取得したPHDタンパクのX線結晶構造を基に、化合物との結合エネルギーを評価した。ここで、化合物の設計の指針として、PHDの活性中心である鉄原子に強く配位することのできる元素を複数配置した骨格を前提に、合成可能と考えられる未知化合物を中心に行うこととした。ドッキングシミュレーションの結果、スコアの高い化合物を数十種類実際に合成していった。合成した化合物を先述したスクリーニング系で評価した結果、その中のTM6649という化合物が高い活性を有することが明らかとなった。また、細胞毒性試験であるMTS試験を実施したところ、TM6649の細胞毒性は認められなかった。このことから、TM6649は低分子PHD阻害剤として有望な化合物であることが明らかとなった。今後、化合物の多角的な評価続く最適化を経て、より効果の高い低分子PHD阻害剤が得られることが期待される。これは虚血治療薬として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
創薬研究は、非常に結果が出にくいものであり、とくに化合物の合成に時間がかかる。適切な評価系を構築しても化合物を有していなければ、創薬にはつながらない。私は有機合成化学が専門であることを強みにし、低分子PHD阻害剤の効率のよいスクリーニングを実践してきた。すなわち、コンピューターを用いたドッキングシミュレーションによって膨大なスクリーニングを効率化し、1年間の短期間でヒット化合物を導出した。そのため、研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、得られた化合物を多角的に評価して行かなければならない。また、現在、我々が有しているレポーター細胞を用いたルシフェラーゼ発光による評価系では化合物のスクリーニングには適しているが化合物の最適化にはそぐわない。そこで最適化のための新しい評価法を構築しなければならない。また、スクリーニングによってヒットしたTM6649の誘導体のほとんどは未知化合物であり、今後最適化を行うためには新規合成法の開発が必須でありそれには相応の時間がかかることが問題である。これに対しては、種々の新規反応を開発した経験を活かし、対応して行きたいと考えている。
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