2013 Fiscal Year Annual Research Report
戦争の法則:シミュレーション技法による統計的法則性の再現と国際関係理論の転回
Project/Area Number |
12J05785
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 岳 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国際関係論・国際政治学 / 武力紛争の統計的法則性 / 武力紛争の計量分析 / シミュレーション技法 / 武力紛争の空間的様相 / 武力紛争の時間的様相 |
Research Abstract |
本研究は, (1)経験的なデータセットの検討(法則性の吟味)と(2)それを説明するモデル(特にコンピュータ・シミュレーション[マルチエージェント・シミュレーション]・モデル)の提示およびその方論的意義の検討を2つの柱としている. 具体的には, 武力紛争の時空間, すなわち(a)時間的様相(データセットに見られる時間的な変動・傾向など)と(b)空間的様相(紛争発生地点の分布など)の2つの側面について, (1)・(2)両面から検討を進める. こうした作業を通して, 武力紛争に観察される統計的法則性・特徴量を明らかにし, その起源・変動に対する説明を提示することで国際関係論に有益な含意を得ることに, 本研究の主要な目的がある. 前年度に引き続き, 平成25年度は以下の通り研究を進めた. (a)時間的様相については, 経験的に看取される法則性とその変動を説明するシミュレーション・モデルの作成を中心に研究を進めた. 「拡大と疲弊の相互作用が生む戦争規模の法則性」・「『拡大と疲弊の相互作用が生む戦争規模の法則性』補遺」・「国際関係論におけるシミュレーション技法の展開」・の3論文(いずれも副題等略, 下記参照)に, 研究成果をまとめた. (b)空間的様相については, 紛争・内戦, 特に文民に対する暴力行使の発生地点に関するデータセットを主に用いて, 研究を進めた. この点についての研究成果は平成25年度中に2論文を執筆, 学術誌に投稿した. この2論文は, 本報告書執筆段階ではともに査読中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には, 平成24年度からの研究成果を論文等の形で公刊でき, 研究計画を進めることができた. 本報告書提出時点では平成25年度に執筆した2論文が未だ査読中と, 年度内の成果発表に間に合わなかったことが課題として残るものの, 研究計画自体はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は, 平成25年度中には間に合わなかった2論文の公刊に向けた作業を引き続き進めるとともに, 武力紛争の空間的様相についての研究を進める. 特に, 計量分析およびシミュレーション・モデルによる, 現実の武力紛争に観察される空間的特徴(発生地点等の空間分布とその変動)の説明を中心に研究を進めたい. また, 当初の研究計画にはなかった作業だが, 経験的に観察されるデータを説明できるモデルを用いた, 将来予測にも踏み込みたい.
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