2012 Fiscal Year Annual Research Report
心停止ドナー肝グラフトを再生の足場として利用した肝再生に関する研究
Project/Area Number |
12J05821
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 耕介 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 心停止ドナー / 再生の足場 / 肝移植 |
Research Abstract |
(1)肝移植レシピエントに対する肝細胞移植のpilot study:心拍動ドナー肝移植モデルでレシピエントに対して脾臓経由での肝細胞移植を行った。肝細胞移植直後より移植肝の著明な色調変化を認めた。動脈再建を行わない我々の肝移植モデルでは門脈塞栓の影響が非常に強くなることが危惧された。そこで、a:再建を行わない肝動脈から投与。b:肝移植術後の状態が安定してからの投与。c:肝動脈を再建した肝移植モデルの導入。を検討した。 (2)ラット心停止ドナー肝移植モデルの条件設定:ドナー心停止誘導から臓器還流までの温阻血時間を0,30,45,60分として術後7日目までの生存を評価した。60分では全例が死亡し、45分では生存率が0.778(7/9)であった。また、術後7日目に犠牲死せしめ採取した肝組織では、著明な肝障害を認めた。そこで温阻血時間を45分として上記(1)の検討を行った。 (3)心停止ドナー肝移植におけるレシピエントへの肝細胞移植:a:再建を行わない肝動脈から投与、b:肝移植術後7日目に脾臓経由での肝細胞移植、を行った。肝細胞移植のドナーにLacZ-Tgラットを用いた。いずれも術後の経過は良好であったが、肝細胞移植から各々3週間後に犠牲死せしめ、肝組織をX-gal染色で評価したところ、移植肝細胞の生着を認めなかった。また、対照群として肝移植のみを施行したラットにおいて、術後4週間の肝組織像を評価すると術後7日目に比して著明な改善を認めた。 (4)肝移植における虚血再還流障害からの肝修復過程での肝外組織由来細胞の寄与について:(3)の結果を踏まえ、我々の系での肝組織修復過程に肝外組織由来の細胞が関与するのかを検討した。レシピエントにLacZ-Tgラットを用い、45分温阻血時間の心停止ドナー肝移植を施行した。術後4週間で犠牲死せしめ、肝組織をX-ga1染色で評価したところ、X-gal陽性の肝細胞を認めなかった。subletha1な温阻血では虚血再還流障害からの肝修復に肝外組織由来の細胞の関与は少ないと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画していたよりも門脈塞栓の影響が大きく、計画の変更を行った。また、心停止ドナー肝グラフトの機能が、予想していたよりも良好で、実験の条件を再度設定しなおして、自分たちの研究計画の実現可能性について検討を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
門脈塞栓の影響を軽減するために動脈再建ありの肝移植モデルを導入した。手技の習得がやや困難であったが、おおむね習得できている。新しいモデルを用いて改めて心停止ドナー肝移植モデルの条件設定を行い、より長い温阻血時間での肝移植において、肝グラフトを再生の足場として利用可能であるか、検討を行いたい。
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Research Products
(1 results)