2012 Fiscal Year Annual Research Report
選択的オートファジーによる植物ペルオキシソームの品質管理機構の解明
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12J05852
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
柴田 美智太郎 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ペルオキシソーム / オートファジー / ペキソファジー / シロイヌナズナ / 品質管理 |
Research Abstract |
私たちはペルオキシソームの細胞内局在に着目し、野生株とは異なった局在を示す変異株の選抜を行ってきた。そして、peup1(peroxisome unusual positioning 1)と名付けた変異株の解析を通して、オートファジーという細胞内の分解系が植物においてはペルオキシソームの品質管理機構として機能しているという仮説を立てた。 当該年度では、roGFPという蛍光タンパク質を用いてペルオキシソームの酸化還元状態をリアルタイムでモニターすることに成功した。この技術により、オートファジー欠損株であるpeup1変異株におけるペルオキシソーム凝集体が野生型よりも酸化的な状態、すなわちダメージを受けた状態であることを証明することができた。当初はHyPerという蛍光タンパク質を用いることを予定としていたが、別の蛍光たんぱく質を用いることで期待した成果が得られた。また、人為的な過酸化水素発生によるオートファジーの誘導を目的としてKillerRedという蛍光タンパク質を発現させた植物体の作出にも成功した。現在はオートファジー誘導の条件の検討を行っている。 また、peup1変異株の解析から、ペルオキシソームタンパク質であるカタラーゼがオートファジーに対する分解のシグナルとなっていることが予想された。そこで、カタラーゼとオートファジーとの関係を調べるために、カタラーゼ変異株(cat2,cat3)、およびオートファジー変異株(atg2)との多重変異株を作出し、その解析を行った。その結果、カタラーゼそのものはオートファジーの分解に関係しないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1年目は2年目の研究に必要な材料作りがメインであり、こちらに関してはおおむね計画通りに進行した。一方、薬剤処理によるオートファジーの可視化や、KillerRedによるオートファジーの誘導系といった基礎となる部分がまだ確立できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
カタラーゼ変異株など、作成できた材料については計画通りに解析を進める。 一方、上述の薬剤処理によるオートファジーの可視化や、オートファジーの誘導系を確実に確立するために、より効果的な薬剤や蛍光タンパク質の導入を計画する。
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Research Products
(2 results)