2012 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ粒子-タンパク質複合体の生体内一段階調製プロセスの開発
Project/Area Number |
12J05872
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二井手 哲平 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金ナノ粒子 / 酸素反応 |
Research Abstract |
本研究では、グリセロールデヒドロゲナーゼ(GLD)の酵素反応より産出される電子伝達物質(NADH)を電子供与源としてもちいることで、大腸菌を反応場として、金イオンからの金ナノ粒子の調製を試みている。さらに、金表面に親和性を有するペプチドを遺伝子工学的手法で導入した機能性タンパク質をGLDと共発現させることで、金ナノ粒子の形成と機能性タンパク質の修飾をワンポットで行うことを目指している。 まず、金ナノ粒子上に固定化するタンパク質のデザインをおこなった。抗体のFcドメイン特異的に結合するプロテインGとプロテインAを機能性部位、His-tagとGSTを精製用の部位、A3ペプチド(AYSSGAPPMPPF)を金結合部位とし、この三つのドメインから成る融合タンパク質を調製した。次に、GLD酵素反応系に加えることで金ナノ粒子の形成と同時に融合タンパク質が固定化できるかを評価した。 GLDと融合タンパク質をそれぞれ大腸菌を用いて発現・精製したものを用いて、in vitroでタンパク質-金ナノ粒子複合体の調製を行った。その結果、金ナノ粒子の形成および融合タンパク質の固定化に成功した。A3ペプチドは金ナノ粒子の形成を促進することが示され、A3ペプチドの存在により金ナノ粒子の分散性が向上することが示唆される結果が得られた。しかしながら、金表面に対する相互作用は、A3ペプチドよりも精製用のタグとして導入したHis-tagの方が強いことが明らかとなった。このことから、金ナノ粒子上の融合タンパク質はHis-tagを介して結合していることが明らかとなった。このことから、次にA3ペプチド側ヘシステインを導入することで、Au-S結合を介してA3ペプチド側での融合タンパク質の固定化を試みた。その結果、システインの導入により、金ナノ粒子の形成と融合タンパク師の安定な固定化に成功した。本年度の研究は現在、国際誌に論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機能性タンパク質のデザインからin vitroでのタンパク質修飾金ナノ粒子の調製には成功したが、A3ペプチドよりもHis-tagの方が強く金表面に結合してしまうことが明らかとなり、安定した固定化を達成するという所で研究が滞ってしまった。しかしながら、本問題はA3ペプチド側にシステインを導入することにより解決することができ、新たな知見を得ると共に成果を論文化することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の基本方針に変更はないが、得られた知見をもとに、大腸菌内でのタンパク質修飾金ナノ粒子を達成するために融合タンパク質を再デザインをおこなう。具体的には、His-tagおよびA3ペプチドを繋げたタグを融合タンパク質に導入した機能性のタンパク質を調製する。結合力が弱い場合は、システインを導入することで問題を克服できると考えられる。まず、精製したGLDと機能性タンパクを用いてin vitroでの実験により確認を行う。次に、大腸菌内でのタンパク質修飾金ナノ粒子の調製を試みる。
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Research Products
(5 results)