2013 Fiscal Year Annual Research Report
金属ナノ粒子-タンパク質複合体の生体内一段階調製プロセスの開発
Project/Area Number |
12J05872
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
二井手 哲平 九州大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金ナノ粒子 / アフィニティペプチド / 酵素反応 / グリセロールデヒドロゲナーゼ |
Research Abstract |
本研究では、グリセロールデヒドロゲナーゼ(GLD)によるNADH補酵素再生系に対して、金結合性ペプチドを融合した機能性タンパク質を共存させることで、目的とする機能性タンパク質が金ナノ粒子表面に修飾された金ナノ粒子-タンパク質複合体の調製を試みた。まず、3つの異なる機能(精製用タグとしてヘキサヒスチジンタグ(His-tag)およびグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、抗体結合ドメインとしてプロテインGおよびプロテインA、金結合ペプチドとしてA3ペプチド)を有する機能性タンパク質をデザインした。また、各ドメインが金ナノ粒子の形成や結合に与える影響を評価するために、A3ペプチドを欠損させたタンパク質および精製用タグを欠損させたタンパク質も調製し、評価に用いた。その結果、抗体結合ドメイン融合タンパク質存在下においてもGLD酵素反応による金ナノ粒子合成反応は進行し、生成した金ナノ粒子表面に当該融合タンパク質が結合していることを確認した。さらに、得られた抗体結合ドメイン修飾金ナノ粒子を用いたEnzyme-linked immunosorbent assay (ELISA)の結果から、金ナノ粒子上に固定化された融合タンパク質は、金結合性ペプチドを介してその機能を保持した状態で金ナノ粒子上に固定化されていることが明らかとなった。 さらに、大腸菌由来GLDに代え、より安定で結晶構造が入手可能なBacillus stearothermophlius由来GLD (BsGLD)を用いてタンパク質修飾金ナノ粒子の調製を試みた。BsGLDの高次構造情報を基に、機能性タンパク質と金結合ペプチドの双方を遺伝子工学的手法により融合させた新規キメラタンパク質を調製することで、単一タンパク質成分によるタンパク質修飾金ナノ粒子の一段階合成を試みた。その結果、金ナノ粒子合成と粒子表面への提示を一種類の融合タンパク質が担う金ナノ粒子-タンパク質複合体の調製に成功した。また、本手法により調製された金ナノ粒子上に固定されたタンパク質の機能が十分に保持されていることをELISAにより確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はGLD酵素反応を利用したタンパク質修飾金ナノ粒子の調製法の開発を目的として研究を遂行し、おおむね期待した結果が得られている。その結果、二つの学術論文を作成することができた。しかしながら、大腸菌内でのタンパク質修飾金ナノ粒子の合成は達成できておらず、更なる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、in vitroでの酵素反応を利用したタンパク質修飾金ナノ粒子の調製が可能となってきた。本研究の最終目標は大腸菌内でのタンパク質修飾金ナノ粒子の作製であるが、形成した金ナノ粒子に対して如何に目的のタンパク質を結合させることができるかが課題となってくると考えられる。さらに、大腸菌を用いて金ナノ粒子を形成させる場合、大腸菌のどこの部分で金ナノ粒子が形成するのかを確認する必要があると考えられ、この点も含めて今後検討を進めていく予定である。
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Research Products
(7 results)