2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J05874
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
加戸 啓太 独立行政法人 建築研究所, 建築生産研究グループ, 特別研究員(PD)
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Keywords | 伝統木造建築 / デジタルアーカイブ / 三次元モデル / データベース / BIM |
Research Abstract |
本研究では、伝統木造建築を構成する部品を精緻に表現するために、部品の伝統的な設計法のモデル化、およびプログラミング言語による記述によって部品雛形を定義し、この雛形(の公開変数)に適宜パラメータを与えながら実体(インスタンス)化するという手法をとっている。これまでの取り組みの中で、様々な伝統木造建築を精緻にモデル化するためには、部品雛形の拡張性や、その扱う情報について考察の余地があることがわかった。こういった部品雛形の構成について、伝統的な作図との関連(サブテーマ1.1)、公開変数そのものの変更に関する考察(サブテーマ1.2)、継手・仕口等の納まり部に関する部品雛形の構成(サブテーマ1.3)といった観点から考察を行う。今年度は、軸部を構成する部品雛形に関連の強いサブテーマ1.3について重点的に研究を行った。サブテーマ1.3では、横架材同士の納まりを幾つかのパターンに分け、それらの表現に必要な変数を整理した。次に、納め方をパラメータとして入力することで、納まり部の形状が表現されるよう三次元CADを拡張した。この拡張は、CADの横架材雛形(CAD雛形)とC/C++プログラム上で定義した横架材雛形(C/C++雛形、変数群とそれに関連する処理)との手続きによって実装されており、この手続きによって納まり部の形状が表現されるとともに、どのような納まり部であるかが双方の部品の公開変数にパラメータとして記録され、モデルの構造解析への応用等を見込むことができる。 また、物理演算エンジンを利用した解体(分解)シミュレータによるモデルの整合性確認手法の開発に向けたプロトタイプの開発、デジタルアーカイブで写真等の関連資料を管理する手法、およびデジタルアーカイブのWebアプリケーションへの展開による閲覧利用についても研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
引き続きサブテーマ1.3について研究を進めることを予定している。サブテーマ1.3では、三次元CAD内部の情報をC/C++によるオブジェクト指向データベースへと展開することで部品間の依存関係を扱うことを可能にしている。この手法によれば、サブテーマ1.1や1.2で課題としている作図との親和性の高い幾何情報の扱う方や、公開変数の変更についても問題解決が可能であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の研究計画で挙げた順序を入れ替えたサブテーマもあるが、全体としては順調に進展している。
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