2013 Fiscal Year Annual Research Report
芸術作品における美的価値と倫理的価値との相互作用 : 美的経験の構造分析に基づいて
Project/Area Number |
12J05918
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
森 功次 山形大学, 人文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 分析美学 / 芸術的価値 / サルトル / 美的価値 / 現代アート / 神経美学 / 存在論 / 想像力 |
Research Abstract |
本年度はまず5月に、昨年度からの継続作業であった翻訳書、ロバート・ステッカー『分析美学入門』をようやく刊行することができた。本書は分析美学の本格的入門書としては本邦初の翻訳である。 7月にはポーランド、クラクフで行われた国際美学会に参加し、理想的観賞者と芸術的価値との関係について発表を行ない、その発表内容をProceedingsに投稿した。これは「芸術的価値」に関する研究の成果である。 次に9月に名古屋哲学フォーラムにて、神経美学や実験美学との関係で美学者は何をすべきか、という観点からシンポジウム発表を行った。これは「美的価値」に関する研究に属する作業である。さらに12月には日本ポピュラー音楽学会にて、ポピュラー音楽作品の存在的地位について、現在のポピュラー音楽研究者たちの議論を分析した。これは「批評という営みについての分析」に関する研究に属する。本発表では、分析美学の知見を活かした近接領域へ貢献するという本研究の重要な目標を達成することができた。 年が明けて1月と、3月には、他の科研の研究会にてサルトルの想像力理論、文学理論に関する発表を行い、現象学方面の研究を進めた。これらの成果は、翌年度での論文発表につなげたいと思うまた前年度に発表した論文を英語化し、美学会の欧文雑誌BIGAKUに投稿した。 ならびに、アウトリーチ活動として、近日創刊される一般向け雑誌『ESTHETIQUE』に原稿を寄せたほか、名古屋であいちトリエンナーレに絡めたトークイベントを、六本木で展覧会「六本木クロッシング2013」に合わせた一般向け講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定していた現象学研究よりも、翌年度に計画していた批評についての研究を進めることになったが、進度としてはおおむね当初の研究どおりに進んでおり、当初の研究計画から大幅に外れてはいない。計画以上の大幅な進展が見られたわけではないが、おおむね順調に進展しているといえよう。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は今年度にできなかった現象学的観点からの研究をより集中して進めたい。 現時点では、サルトル学会等での発表を予定している。 また、応用哲学会、日本哲学会、美学会、露光研究会、などに参加する予定である。
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