2014 Fiscal Year Annual Research Report
国内避難民保護をめぐる規範の発展・動態に関する研究
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12J05961
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
赤星 聖 神戸大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 国内避難民(IDP) / 国際機構論 / グローバル・ガバナンス / 国際機構の自律性 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用第3年度は、昨年度までに遂行してきた各事例研究を総合して、国内避難民(IDP)保護をめぐるガバナンスの動態を解明するための総括を行った。研究課題を設定した時点においては「規範」のみを研究対象としていたが、当初の計画以上に研究が進展したことにより、より広範な「ガバナンスの動態」を解明することができた。
IDP保護をめぐるガバナンスがどのように、なぜ変化してきたのかを明らかにするために、本研究ではIDP問題に関与するアクター間の相互作用の特徴に着目した。その中で明らかになったのは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)などの国連諸機関がガバナンスの変化を生み出す上で重要な役割を果たしたという点である。IDP問題の国際的な議題設定過程、IDPの概念化、IDP保護を実施に移すための枠組み構築など、多くの側面において国連諸機関は大きな役割を果たしていた。例えば、IDP支援が国際的な議題となったスーダン南部避難民支援活動においては、UNHCRが難民の自発的帰還を達成するための地域安定化政策の一つとしてIDP支援を行った。また、1990年代以降は、アメリカらがIDP保護を包括的に担当する国連機関の設置を目論んだものの、国連児童基金や世界食糧計画などの反対によって、失敗に終わっている。
これらの結果は、国際機構を単なる国家の道具や国家が利害調整を行うフォーラムとして捉えるのではなく、一定程度自律性を持ったアクターとして捉えなければ導き出すことができない。本研究で提示した国際機構間関係も含むアクター間の相互作用という分析視角は、多くの先行研究が国際機構を一枚岩だと捉える中で、複数の国際機構間の関係性を捉える重要性を主張したという点で、大きな理論的貢献を含んでいるといえよう。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(7 results)