2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞周期依存的な新規ERα複合体の同定及び機能解析
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12J05985
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
陳 淑[チン] 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 前立腺癌 / アンドロゲン受容体 / RNA-seq / ユビキチン |
Research Abstract |
昨年度までに、GST融合タンパクアフィニティー精製系や抗ERα抗体カラム精製から、既知の相互作用因子のみで新たな因子は得られていない。しかしながら、抗AR抗体カラムアフィニティー精製系により前立腺癌細胞株22Rv1を用いた内在性ARの相互作用因子群の精製、同定を行い、脱ユビキチン化酵素USP7を新たに取得できたことを示した。 この結果は、ARとUSP7はアンドロゲン依存的相互作用することを免疫沈降より確認した。また、in vivoユビキチン化アッセイにより、アンドロゲン依存性ARのユビキチン化に対するUSP7の影響を検討し、USP7の過剰発現により、ARタンパクのアンドロゲン依存的脱ユビキチン化すること、さらに、USP7はアンドロゲン依存的ARタンパクの安定性に機能することも見出した。以上の結果から、USP7は新たなARユビキチン化制御因子であることを明らかにした。 続いて、USP7がARの転写制御機構にどのように作用するか詳細な解析の結果について示した。まず、始めにUSP7が、AR結合領域に結合するかについて、ChIPまたは、ARとのre-ChIP解析により検証することより、USP7がPSAやFKBP5などの代表的な標的遺伝子のアンドロゲン応答配列にリガンド依存的に結合であることを示した。また、USP7のノックダウンと過剰発現により、ARの転写活性化能に対する影響を検討し、USP7はコリプレッサーとしてARの転写活性化能を抑制することについても示した。以上の結果から、USP7が新規AR転写共役因子であることを証明した。 さらに、USP7依存的なAR標的遺伝子群を調べるため網羅的な解析手法のであるRNA-seq解析を行っている。このとき、USP7のノックダウンした細胞を用いることにより、アドゲロゲン依存的な遺伝子発現に対する影響を検討した。この解析結果から、PSAやFKBP5などの代表的なアンドロゲンより発現が活性化され遺伝子を含めた約54%のアンドロゲン応答遺伝子群の発現量がUSP7をノックダウンより低下していることや、逆に約28%のアンドロゲンより発現量が抑制され遺伝子の発現がUSP7をノックダウンより抑制解除されることを示した。このことは、USP7はコアクチベーターであり、コリプレッサーにも機能する可能性について興味ある報告をした。以上より、USP7は標的とする前立腺がん治療薬の開発に進むも期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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