2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J06003
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
日比 裕理 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | テンプレート / ラジカル配列制御重合 / 切断基 / 二足歩行 |
Research Abstract |
高分子材料の機能発現において、構成モノマーの並び方、すなわち配列は、極めて重要な構造因子である。しかしながら、工業的にも最も実用性の高い連鎖重合であるラジカル重合においては、得られる共重合体のモノマー配列は、モノマー反応性比に基づくランダム配列であり、モノマー配列を制御することは不可能である。モノマー配列制御重合が可能となれば、側鎖官能基を真に協調させることで、新たな高分子機能が創出されると期待される。 申請者は配列情報を組み込んだ鋳型(テンプレート)分子に着目し、鋳型上にモノマーを固定化した「テンプレートモノマー」の重合により、ある一定の配列規制が発現する事を、これまでの研究で明らかにしてきた。そこで本研究では、成長末端に沿って歩行可能な二足テンプレートを精密設計し、一分子ラジカル付加による連鎖配列制御について検討を行った。 まず始めに、一組の再生可能な直交的切断基、重合性基、ラジカル開始基を組みこんだテンプレート分子の設計から着手した。テンプレートの足となる一組二種類の直交性切断基には、満たすべき必要条件が数多くあり、モデル反応の検討結果から、これをクリアする切断基の組み合わせとして、ピリジルチオール及びN-ヒドロキシサクシイミドエステルを選択した。実際にこれらを組み込んだテンプレート分子を合成し、次に、近接効果によるラジカル開始基と重合性基の一対一の反応を検討した。種々反応条件の改善を行い、最終的には、狙い同士の一分子付加反応が完全に選択的に進行する事を、MALDI-TOF-MS及びNMRによる構造解析から確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
配列制御に直結する、一分子ラジカル付加反応を、歩行可能なテンプレート上で行うことが既に可能となっている。従って、後は、テンプレートを歩行させることで、連続的な一分子付加反応が可能となり、配列制御ラジカル重合の実現はすでに目前となっている。この観点から、現時点では当初の計画以上に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
既に、テンプレート上での一分子ラジカル付加に成功しているため、今後はテンプレートを歩行させることで、連続的な一分子ラジカル付加についての検討を行う予定である。具体的には、テンプレートに組み込んだ切断基の切断及び再生の反応条件を検討し、高収率でテンプレートを歩行させる点に重点を置き研究を進めていく予定である。
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Research Products
(3 results)