2013 Fiscal Year Annual Research Report
ゴールの形質変化がゴール形成昆虫ー捕食寄生者の生物間相互作用に与える影響
Project/Area Number |
12J06016
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤井 智久 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マサキ / マサキタマバエ / ハラビロクロバチ / 野外実験 / キヅタツボミタマバエ / シマバエ |
Research Abstract |
本年度は, マサキタマバエの野外実験を実施した。これまでの研究から, ハラビロクロバチに寄生されたマサキタマバエのゴールは, 未寄生のマサキタマバエのゴールより肥厚化することがわかった。しかし, マサキの株による影響もあり, ハラビロクロバチに寄生されたゴールの厚さが来寄生のものより有意に厚くならない株があった。そこで, 株の影響を排除して, ハラビロクロバチに寄生されたゴールが, 本当に厚くなることを確かめる実験を計画した。 実験では, 鳥取県で採集したゴールから羽化してきたマサキタマバエとハラビロクロバチの成虫, 寄主植物であるマサキは, 伊都キャンパス内にある生物多様性保全ゾーンに自生しているものを使用した。 羽化してきたタマバエは, 直径3cm×長さ12cmのガラス瓶内に雌雄1匹ずつ入れて交尾させた。交尾した後, ビニール袋で袋掛したマサキの枝へ放飼して, マサキの新葉に産卵させた。マサキタマバエの産卵を確認できた75枝のうち, 約半数に交尾済みのハラビロクロバチのメスを1匹入れて, ハラビロクロバチに寄生させた処理区と寄生させない対照区の2っを設けた。タマバエのゴールの形状が顕著になり始める7月から定期的にゴール形成の有無と生長を記録した。 マサキタマバエの幼虫が, マサキの葉に潜った跡は認められたものの, ゴールの形成および生長は確認することが出来なかった。タマバエの幼虫がマサキの葉に潜った後, 何かしらの要因で死亡した、もしくは, 実験に使用したマサキにゴール形成に対する抵抗性があったため, マサキタマバエのゴールが形成されなかったものと考えられる。 その他に, 糸島市で採集したキヅタツボミタマバエのゴールからシマバエ科の一種の幼虫が得られた。本種については, 今後, 食性を明らかにするために詳細な調査が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は, マサキタマバエの野外実験を実施したが, マサキタマバエのゴールが形成されることがないため, 仮説を検証することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も野外実験を実施予定である。野外実験用に野外からゴールの形成されていたマサキ株の枝を剪定し, 挿し木を用意した。また, 野外調査から, 実験に用いるサンプルを採集する場所を策定するなどの準備に取りかかっている。
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] 九州大学伊都キャンパス生物多様性保全ゾーンにおける2012年度実習ライトトラップ甲虫調査(予報)2013
Author(s)
細谷忠嗣, 井手竜也, 三島達也, 藤井智久, 舘卓司, 會津光博, 加藤啓祐, 吉澤聡史, 浦志知恵, 和智仲是, 石川善朗, 高木大司, Gabriel Alonzo Carreira, 勝山礼一朗, 荒谷邦雄
Organizer
日本昆虫学会九州支部・日本鱗翅学会九州支部合同大会
Place of Presentation
長崎大学
Year and Date
2013-11-30