2012 Fiscal Year Annual Research Report
動的核偏極‐核磁気共鳴法による新規心筋梗塞診断法の開発
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12J06035
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土谷 享 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 動的核偏極 / イメージング |
Research Abstract |
本研究は動的核偏極-核磁気共鳴法を用いた新規心筋梗塞診断法の開発を目的とする。今年度は、まず、クレアチンリン酸と類似した小分子であるエチレンジアミン4酢酸(EDTA)の超偏極寿命を測定した。超偏極寿命の評価は、超偏極寿命と密に関係している縦緩和時間を測定することで行った。EDTAのカルボキシル基のC核の縦緩和時間を測定したところ、約10秒であった。このEDTAの縦緩和時間から、本課題で用いる分子プローブの超偏極寿命も、それほど長くないことが示唆された。次に、クレアチンリン酸の超偏極寿命を測定するため、市販されているクレアチンリン酸のカルボキシル基、グアニジル基の13C核の縦緩和時間を測定した。どちらの13C核も10秒から15秒であり、目標とした超偏極寿命には及ばなかったため、今後の課題としてプローブの超偏極寿命を長くすることが挙げられる。 また、分子プローブを標的組織・細胞へと送達するための手段として、機能性核酸であるアプタマーの開発も同時に着手した。アプタマーは理論的にはどのような分子・組織に対しても取得可能であり、本課題のように心臓を標的できる既存の分子が知られていない場合でも、心臓を標的としてアプタマーを取得することが可能である。核酸の取得には試験管内進化法という手法が用いられており、且つ、本課題でとり行う心筋梗塞診断に向けて細胞、もしくは、生体組織を用いた手法が必要となる。しかし、受入研究室ではその技術が未習得であった。そこで今年度はまず既知のアプタマーで手法の構築を目指した。来年度以降、系の構築後に心臓組織へ標的可能なアプタマーの取得を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度末よりHeの供給不足によるNMRの停止に伴い、超偏極に関する実験ができないでいる。しかし、当初の予定通り緩和時間測定からプローブの改善点等は導き出しており、これまでは順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
世界的なHeの供給不足のため動的核偏極-核磁気共鳴用のNMRが停止しており、今後も測定回数はかなり限られてくると予想される。そのため、受け入れ研究機関周辺にある熱平衡NMRで基礎評価を行いつつ、分子プローブのターゲティング能力向上を目指したアプタマーの開発を行う。
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