2013 Fiscal Year Annual Research Report
動的核偏極‐核磁気共鳴法による新規心筋梗塞診断法の開発
Project/Area Number |
12J06035
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土谷 享 九州大学, 大学院工学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 動的核偏極 / 核磁気共鳴法 / 核酸アプタマー / イメージング |
Research Abstract |
本研究は、動的核偏極-核磁気共鳴法を用いて心筋梗塞診断を実現する分子プローブの開発を目的としている。昨年度までに心筋梗塞のマーカー分子であるクレアチンキナーゼにより脱リン酸化されるクレアチンリン酸を分子プローブの候補とし、重元素ラベル標識を行う予定だった炭素分子の縦緩和時間を測定したが、緩和時間が20秒弱と非常に短かった。そのため、心筋梗塞診断に用いるには不十分だと判断し、短い時間で診断が可能となるように、分子プロープを標的へと送達することが重要だと考えた。 今年度は、分子プローブを標的へと送達するための手法に関して主に研究を進めた。具体的には、分子プローブに標的ターゲティングするための技術として核酸アプタマーに着目した。核酸アプタマーは配列に依存して標的分子に特異的に結合できる次世代の認識分子材料と言える。心筋梗塞、つまり、心臓へと分子プローブを送達するためには、心臓組織、もしくは、心臓由来の細胞を標的として核酸アプタマーを取得する必要がある。そこで、まず、細胞を標的として進化工学的な手法により核酸アプタマーを取得する系の構築に取り組んだ。過去に報告されている核酸アプタマーをモデルアプタマーとし、細胞を標的とした核酸アプタマーを取得する系の構築に成功したため、今後は心筋梗塞診断に有用な標的を選び、核酸アプタマーを取得予定である。一方で、核酸アプタマーが生体内でも機能するかどうかを評価している。天然分子である核酸アプタマーは生体内で免疫応答を起こしにくいことが知られているが、同時に、生体内のDNA分解酵素により分解し、すぐに排泄されてしまうことを明らかにした。そこで、人工塩基を用いるなどして生体内でも機能する核酸アプタマーの開発に取り組む予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動的核偏極-核磁気共鳴装置の不具合により分子プローブの開発には取り組めていないが、分子プローブを標的へと送達するための手法の開発に関しては、核酸アプタマー取得の系構築に成功しており、当初の計画以上に進んでいると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、生体で機能する核酸アプタマーの開発を主に取り組む。過去の研究により、人工核酸を用いることで生体内での核酸アプタマーの安定性を向上可能だということは判明しているため、この過去の研究を参考に研究を進める。人工核酸を用いることで核酸アプタマーの能力が喪失する可能性もあるが、人工核酸を挿入する部位、人工核酸の数などを適宜最適化することで問題解決可能だと思われる。 一方で、心筋梗塞の診断に用いる分子プローブの設計に関しては、縦緩和時間の測定から超偏極寿命が短いことが予想されたため、水素の重水素化、超偏極寿命の長寿命化のためのユニットを付加するなどで対応可能だと考えられる。
|
Research Products
(2 results)