2012 Fiscal Year Annual Research Report
EFA/MDGsの意義と効果の検証-中米ホンジュラスのパネルデータから-
Project/Area Number |
12J06060
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
芦田 明美 神戸大学, 国際協力研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 教育社会学 / 国際協力 / 基礎教育 / パネルデータ / 教育達成 / EFA / MDGs / 就学状況 |
Research Abstract |
本年度は研究目的(1)EFA/MDGsの意義を検証した。具体的には2013年1月18日~2月8日の日程にて、現地調査を実施した。現地調査においては、すでに収集済みの対象児の修学状況を記した学校での記録をもとに各家庭を訪問し、その対象児の保護者もしくは本人、家族に対して、在学当時の状況およびその後の状況についての追跡調査を実施した。主な質問内容は、保護者の教育歴、子どもの在学当時の保護者の仕事、収入、子どもの通学時間や児童労働の状況、欠席記録の多い場合にはその理由、退学している場合にはその理由、そして対象校を去ったのち対象児がどのような人生を歩んでいるのかを尋ねたものである。本年度の調査においては、116人分の児童のデータを収集できた。それら収集したデータを用いて子どもの教育達成と現在の職業との関係を見るため、定性的な分析を進めた。また、ホンジュラス教育省刊行文書、EFA/MDGsに関する国際機関刊行文書、バイ・マルチドナーによる報告書、世界およびホンジュラスにおける教育の内部効率に関する先行研究をレビューし、整理した。これら二種類の分析作業は次年度も継続予定である。 これまでに収集済みのデータおよび本年度収集した家庭訪問調査のデータを用いて、子どもたちの教育達成に影響する要因について共分散構造分析を実施した。その結果、次の4つのことが明らかになった。 (1)入学時の年齢、欠席等の学校へのアクセスが教育達成に直接影響する。(2)その学校へのアクセスを左右するのは、保護者の教育価値の判断である。(3)留年は学年途中放棄に直接つながるとは言い難い。(4)学年途中放棄も教育達成に直接影響するとは言い難い。 また、子どもたちの修学状況の年代別比較も実施した。その結果、ストレートでの卒業者が増加している改善傾向を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究目的(1)EFA/MDGsの意義を検証した。この作業はまだ完了しておらず進行途中であるが、データによる分析および資料による分析は実施済みであり、今後論文にまとめる段階にまで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り研究を進めることができているため、計画は変更せず研究を進めていく予定である。しかしながら今後の研究の遂行にあたって、一つ懸念事項が挙げられる。それは調査対象国の治安情勢の悪化である。2013年1月31日付にて、邦人に対して渡航の是非を検討すべきとの指示が外務省によって出されている。本研究をまとめるにあたってのデータはおおむね収集できているが、分析過程において追加の調査が必要となった場合、その時点でのホンジュラス共和国の治安情勢を勘案した上で今後の現地調査の計画を再考する必要が生じると考えられる。
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Research Products
(1 results)