2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J06075
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高棹 圭介 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 偏微分方程式 / 平均曲率流 / Brakkeの平均曲率流 / 大域解の存在 |
Research Abstract |
本研究の目的は、移送項付き平均曲率流の解の存在証明である。ここで、移送項付き平均曲率流とは、曲面が平均曲率と、与えられたベクトル場に依存して動く現象である。移送項の無い通常の平均曲率流は、曲面の面積を少なくする方向に動くことで知られており、一方で金属の粒界の運動を記述するモデル方程式として知られている。平均曲率流に移送項を加えた理由としては次が挙げられる。まず、平均曲率流に摂動を加えた場合においても、ほぼ平均曲率流として扱うことが出来、解の存在を得ることができるか、という問題が挙げられる。一方で、移送項をナビエーストークス方程式の流速と見做して、平均曲率流とナビエーストークス方程式のカップリング問題の簡単化として考察することが挙げられる。この研究の問題点として、古典解では曲面のジャンクションや曲面同士の重なりを表現することが出来ないため、より広いクラスにおける解の存在を示す必要があった事が挙げられる。それに対しBrakkeは、幾何学的測度論(曲面をバリフォールドと呼ばれるRadon測度と見倣す手法)を用いてBrakkeの平均曲率流という平均曲率流の弱解を構成し、その存在を示した。本研究ではBrakkeの結果の拡張である、移送項付き平均曲率流の解の存在について考察した。本研究に関連する既存の結果としてLiu-Sato-Tonegawaの結果である空間が2,3次元におけるBrakkeの移送項付き平均曲率流の存在が挙げられる。この結果の拡張として、任意の空間次元におけるBrakkeの移送項付き平均曲率流(弱解)の存在を示すことができた。なお、本研究は指導教官の利根川吉廣教授との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初2年間かけて証明する予定であった移送項付き平均曲率流の弱解の存在を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
移送項付き平均曲率流に関しては、弱解の存在を得ることが出来たため、その応用としてナビエーストークス方程式とのカップリング問題に対する弱解の存在、また体積保存平均曲率流の弱解の存在を示す。
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Research Products
(11 results)