2012 Fiscal Year Annual Research Report
骨再生を目的とした表面修飾高機能化カーボンナノチューブの開発
Project/Area Number |
12J06076
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 恵理 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 線維芽細胞増殖因子 / 高機能化CNTs / 骨 / 骨髄間質細胞 / 国際情報交換 / フランス |
Research Abstract |
我々はこれまでに,カーボンナノチューブ(CNTs)を骨再生に応用する研究を行ってきた.特にCNTsの生物学的な構造に着目し,3次元培養単体の表面修飾として使用し評価した.その結果,CNTコーティングは培養初期における細胞の付着を促進し,骨芽細胞の分化を促進することを報告してきた.一方で,CNTsはBMSCsの増殖を抑制するという報告がある.線維芽細胞増殖因子(FGF)は,骨髄間質細胞(BMSC)の増殖や,初期の骨再生を促進することが報告されている.CNTsは表面にタンパクなどを修飾することにより,生体適合性を付与するだけでなく目的に応じて高機能化することが可能である.そこで本研究では,CNTsを表面修飾として骨再生に応用するために,FGFを修飾しCNTsを高機能化したFGF-CNTを作製し評価した. 本研究では,FGFをCNTsに化学的に修飾することが可能となった.FGFを化学的に修飾後も,細胞増殖に対する効果は維持されていた. FGF-CNTを応用するため,本研究ではこれまでに用いた方法により,コラーゲンスポンジ表面にそれぞれの処理を行い,各種コーティングスポンジを作製した.これらのスポンジを骨膜下に埋入したところ,CNTsをコートしていない未処理のスポンジは全て吸収し,FGFスポンジも一部幼弱な骨様組織が残存しているのみであった.一方でFGF-CNTコートスポンジのボア内部には骨形成がみられた.これまでに我々は,CNTsをコートすることによりコラーゲンスポンジの吸収が抑制され,骨形成時にボアの構造を維持することができることを報告している.よって,FGF-CNTでは,ボアの形態を保持しながら,さらに表面のFGFが周囲の骨芽細胞に作用し,骨形成を促進したと考えられる.以上よりFGF-CNTは骨補填剤の表面修飾への応用が期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
CNTsをFGFにて化学的に修飾することにより高機能化し,骨再生への応用を検討することができた. 本結果を基にして,骨再生に対して効果的なCNTsの高機能化について探索するために,平成24年5月より1年間フランス国立科学研究所(CNRS)にて研究予定である.また,本年度の成果については,論文にまとめ,国際誌に投稿中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は共同研究を行っているフランス国立科学研究所にて骨再生に対してより効果的な高機能化CNTsの開発を行う. また,CNTsの生体への影響について引き続き探索を行う.特に,CNTsが骨や骨芽細胞に及ぼす影響について,生化学的,形態学的のみならず免疫学的な側面から明らかにする.
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Research Products
(5 results)