2012 Fiscal Year Annual Research Report
因果構造分析に基づく住宅・地域環境の健康影響評価手法の開発
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12J06084
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
安藤 真太朗 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 建築環境・設備 / 健康影響評価 / 予防医学 / フィールド調査 / 住宅・地域環境 / 共分散構造分析 |
Research Abstract |
日本全国の実態調査に基づいて住環境と健康の因果構造を明らかとし、生涯健康な社会形成に資する住宅・地域環境の健康影響評価手法を開発することを目的として、初年度は、住環境と健康に関する多様なサンプルを収集するための、(1)3年の経過を確保した追跡調査,(2)主観と客観の双方データを収集・測定するフィールド調査,(3)全国区を対象とした大規模WEBアンケート調査,の3つのアプローチによって研究を遂行した。 (1)については、北九州市で実施した断面調査(2009年)の回答者に対して追跡調査を実施し、186名から有効回答を得た。ここで収集した縦断データを用いて因果モデルの一つである交差遅れ効果モデルと同時効果モデルを構築し、住環境と健康の因果効果について検証した。(2)については、山口県と高知県において先行調査同様のアンケートに加え、温湿度計・活動量計・心拍計等を用いて冬季調査を実施し、約200世帯のデータから住環境と健康に関する心理・生理量の双方の関係について検討を行なった。(3)については、滞在するコミュニティと住生活行動の健康性に関する課題点を住民と共有するために開発した"コミュニティの健康チェックリスト"の有効性検証を目的としたアンケート調査を、日本全国の20歳以上の男女(WEB調査会社のモニター)約10,000人を対象に実施した。その結果、算出したチェックリストスコアの向上に応じて、居住者の健康関連QOLが向上し、日常生活で体験する健康障害も低減することを確認した。 以上の調査研究推進によって、述べ1万1千人の住環境と健康に関する膨大なデータを収集した。当データは因果推論のために必須となるものであり、次年度の多重ロジスティック回帰分析やマルチレベル分析を含む多変量解析の実施によって研究目的を果たす予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主観と客観の双方のデータを含む膨大なデータ収集が果たされ、初年度の目的を達成したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
日本全国でのデータ収集によって順調に研究が進展したといえるが、縦断データについてはサンプル数が十分でないことが示唆された。従って、次年度においても調査を継続し、特に追跡調査のサンプルの充実を図る。これらを用いた多変量解析とその高度化によってエビデンスを確保した上での健康決定要因を推論していく。以上の推進によって健康影響評価手法を体現する予定である。
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