2013 Fiscal Year Annual Research Report
個体応用を指向した新規レポータータンパク質システムの創製
Project/Area Number |
12J06101
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西原 達哉 九州大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 動的核偏極 / 核磁気共鳴法 / レポータータンパク質 / 内因性酵素解析 |
Research Abstract |
近年、緑色蛍光タンパク質に代表されるレポータータンパク質が開発され、培養細胞レベルにおけるタンパク質解析は飛躍的に進展した。一方、複雑系(個体)での機能は、ほとんど明らかにされていないのが現状である。これは個体レベルでのタンパク質機能を解析する技術の欠如が原因である。そこで、本研究では、個体内におけるタンパク質解析を可能にする技術開発を目標に設定した。 本年度は、前年度に引き続き、個体内におけるタンパク質の機能を解析する技術の拡充に向けて、レポータータンパク質解析と並行し、活性評価により、体内に発現している内因性酵素を直接解析する手法の開発に取り組んだ。具体的には、前年度までに設計した分子プローブの基礎評価を行った。また、本年度より、新たにスイス連邦工科大学ローザンヌ校のArnaud comment研究室との共同研究を開始した。次年度も引き続き内因性酵素活性評価に取り組む予定である。個体における内因性のGGT活性評価が可能になれば、がん、糖尿病、パーキンソン病などの様々な疾病メカニズムに迫れる可能性があり、非常に有用な結果がもたらされると期待される。 さらに、今回設計した分子プローブから、着想を得て、生体内のpH環境を解析する分子プローブの設計、及び、その評価にも成功している。そのため、今年度設計したpH分子センサーによる個体内pHセンシングにより、タンパク質の活性とpHの関連性を解析することも可能になる。さらに、タンパク質の活性と共に、pHは数多くの生命現象との関連があるとされるため、pHセンサーの応用範囲は非常に広いと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
レポータータンパク質解析に並行して、活性評価により、体内に発現している内因性酵素を直接解析する手法の開発に取り組んだ。また、本年度より、スイス連邦工科大学ローザンヌ校Arnaud Comment研究室の共同研究を開始した。さらに、今回設計した分子プローブから着想を得て、生体内のpH環境を解析する分子プローブの設計、及び、その評価にも成功している。以上より、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、GGTに対する分子プローブの個体応用可能性を検討する際、分子プローブの超偏極寿命の短さが問題となる可能性がある。その対応策としては、以下の二つの方策が考えられる。①GGTの反応性の向上 : グリシルグリシンが反応を加速させるアクセプター基質として知られているため、グリシルグリシンを分子プローブと同時に個体に導入することで、GGTの活性評価の実現可能性が高まると考えられる。②超偏極寿命の向上 : 双極子双極子相互作用を抑制することにより、超偏極寿命を向上することが可能であることが知られている。そのため、水素が、重水素で置換された1-^<13>C-gly-d2を用いることにより、超偏極寿命の向上が見込まれる。問題が生じた際は、以上二つの対応策を取れると考えられる。
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Research Products
(7 results)