2012 Fiscal Year Annual Research Report
多層アレイ導波路回折格子と液晶空間光変調器を用いた波長選択スイッチの研究
Project/Area Number |
12J06134
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
反本 啓介 慶應義塾大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 波長選択スイッチ / 液晶空間光変調器 / アレイ導波路回折格子 / 多層導波路 / 光スイッチ / 光ネットワーク / MEMSミラー / スロット構造 |
Research Abstract |
次世代の大容量光ネットワークを構築するためには、小型かつ広帯域動作が可能な波長選択スイッチ(WSS)が必要である。本研究では、多層アレイ導波路回折格子(AWG)と液晶空間光変調器(LCOS)を用いたWSSを提案し、その高機能化を目的としている。 平成24年度の達成目標として、当初は(1)多層AWGの製造方法を見直しWSSポート数を増大すること、(2)外部温度変化によって生じるAWGの位相誤差をLCOSによって補償することでWSSの温度無依存動作を実証すること、(3)新たに反射機構を導入することでWSSモジュールの小型化が可能であることを設計によって示すこと、の3項目を計画していた。また、平成25年度の目標として、(4)上記(3)にて設計した小型WSSを組立て、その動作実証を行うことを計画していた。 上記の当初の計画に対し、平成24年度は、計画(3)および(4)に先行して取り組み、小型WSSモジュールの設計・組立・動作実証を達成した。これまでの研究成果である非反射型光学系をもつWSSに対して約40%の大幅なサイズ縮小化可能であることを明らかにした。また、新たなアイデアとしてLCOSの代わりにスロット構造を有する新しいMEMSミラーを用いることで、従来のMEMSミラーを用いたWSSでは達成できなかった可変グリッド型の高機能WSSが実現可能であることがわかった。そのため平成24年度は計画を変更し、新たに(5)平坦な分光特性を得るためのMEMSミラーのスロット構造の最適設計を行った。また、本研究ではこれまで1×N型(1つの入力ポートと複数の出力ポートを有する)WSSに取り組んでいたが、最新の動向では、N×N型(多入力多出力)WSSへの需要が急速に高まっていることがわかった。そのため、平成24年度は、新たに(6)N×N型のWSSの研究にも取り組んだ。MEMSミラーとバルクグレーティングを用いたN×N型WSSを提案し、N×N型のWSSを小型に構成するための光学モジュールの設計パラメータの最適化を行った。上記計画変更により項目(5)(6)を優先して取り組んだため、当初行う予定であった計画(1)(2)を中断した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
様々な構成のWSSの設計法確立に向けて研究を進めている。LCOSを用いたWSSでは、モジュールの小型化・偏光依存性の低減・多層AWGの位相誤差の補償を達成するための光学系を考案し、実証実験を行った。MEMSミラーを用いたWSSでは、MEMSミラーにスロット構造を設けて平坦な分光特性を得る方法を考案し、論文を執筆した。N×N型のWSSでは、モジュールを小型化するために光学素子の構造と配置について最適設計を行った。
|
Strategy for Future Research Activity |
近年の動向では、本研究で計画していた1×N型WSSに加えて、N×N型WSSへの需要が急速に高まっている。そのため、平成25年度は計画を変更し、当初予定していた1×N型のWSSの研究に加えて、N×N型のWSSの研究に優先的に取り組む。具体的には、N×N型WSSモジュールを組立て、動作実証することを目標とする。実証にあたり、光学素子の収差や配置ずれによる挿入損失およびクロストークの低下が予想される。そのため、光学素子の配置ずれ量とWSSの損失・クロストーク特性との因果関係を明らかにし、光学素子のずれに対してロバストなWSSが得られるよう光学素子の構造の最適化を行う。また光学系の収差を低減するための非球面レンズおよび非球面ミラーの試作を行う。
|
Research Products
(5 results)