2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブタノール耐性細菌を活用するブタノール耐性機構の解明と生産への応用
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12J06234
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
片岡 尚也 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ブタノール耐性 / 排出ポンプ / 1,3-ブタンジオール |
Research Abstract |
1.Bacillubtilisにおけるブタノール耐性に関与する排出ポンプの同定及び機能解析 これまでの阻害剤を用いた解析により、B. subtilisに内在するMATE及びRND型の多剤耐性排出ポンプがブタノール耐性に関与する可能性を有することが示唆されている。そこで、ブタノール耐性に関与する遺伝子の同定を試みた。B. subtilisに存在するMATE及びRND型の排出ポンプを検索したところ、YisQ,YoeA,DinF,NorM,SwrCが存在することが分かった。同定を行うべく、各遺伝子の欠損株を作成し、ブタノール存在下での生育を指標にしたブタノール耐性を再度評価した。その結果、SwrCの欠損株で優位にブタノール耐性が低下する結果を得た。 2.好気条件下で機能するブタノール生合成経路の探索 これまでの結果により、ブタノール耐性B. subtilisにブタノール生合成を付与するには、好気条件下で機能するブタノール生合成系を構築する必要性がある。そこで、大腸菌をモデルとして用いて、C4合成経路であるRalstonia eutrophaの持つポリヒドロキシ酪酸生合成経路を軸に、人工ブタノール生合成経路を設計した。本経路では、R. eutropha由来phaAB, Aeromonas caviae由来phaJ, Treponema denticola由来ter, C. saccharoperbutylacetonicum由来bldを用いる。これらの遺伝子をphaAB-bld及びphaJ-terの2組に分割し、大腸菌に導入した。その途中、phaAB-bldを高発現した細胞を用いたグルコースからの発酵を行ったところ、偶然にも、1,3-ブタンジオール(1,3-BD)の生成を確認した。申請者が偶然発見した本経路を用いた1,3-BD生産性は、既存のものと比較して、高収量・高光学純度・高収率を達成できていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、ブタノール耐性に関与する排出ポンプ遺伝子の同定までは完了しているが、生化学的な解析には至っていない。また、ブタノール耐性微生物へのブタノール生合成系の付与にも至っていない。しかし、大腸菌をモデルとした生合成ではブタノールの生合成経路を基盤とした1,3-ブタンジオールの生合成を達成することができている。この知見は、ブタノール生合成の足がかりになると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1.ブタノール耐性に関与する排出ポンプの機能解析および2.ブタノール耐性微生物のブタノール生産株への育種を引き続き行う。11.の項で触れたように、今年度に得られた知見である大腸菌を宿主とした1,3-ブタンジオール生合成系を応用させることで、強力なブタノール生合成を構築、ブタノール耐性微生物へ移植できると考えている。排出ポンプの生化学的解析については、排出ポンプのみを持つ膜を調整した後、ラベル化したブタノールの取り込み・排出を定量することで、達成できると考えている。以上に重点をあて、研究に取り組みつつ、状況に合わせて軌道修正を行っていきたい。
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Research Products
(3 results)