2012 Fiscal Year Annual Research Report
鳥類前肢の指の本数・アイデンティティーの決定メカニズム
Project/Area Number |
12J06235
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 直生 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 形態形成 / 指 / 翼 / 鳥類 / 恐竜 / 進化 |
Research Abstract |
鳥類前肢の指の本数を決定しているメカニズムの解明について、当初予定していたRCASウィルス法を当研究室で確立し、Sp8、Sp9,p35、Bc12遺伝子をニワトリ胚肢芽に過剰発現させた。しかし、当初予測していた、形態などの変化を見出すことができなかった。そのため、代用法として、特定のタンパク質をニワトリ胚肢芽に添加し、作用させることにした。過去のマウスを用いた知見から、肢芽に発現するBmpファミリーの遺伝子の機能を抑制することによって、同様の変化を得ることができると予測された。そこで私は、BmpファミリーのアンタゴニストであるNOGGINタンパク質をニワトリ胚前肢芽に添加し、Bmp遺伝子の機能の抑制を試みた。この結果、ニワトリ胚前肢芽に、過剰な指様の突起が形成された。また、ニワトリ胚前肢芽では本来細胞増殖しない部分での、細胞の大きな広がりも観察された。このような変化が、どのようなメカニズムで引き起こされているのかを詳細に解析し、これまでの結果と合わせて論文をまとめていくことが、平成25年度の課題となる。 フレームシフトについては、当初予定していたZPAの可視化が困難であると判明したため、予定していた実験を見合わせた。しかし、古生物学と本研究とを融合させた解析から、鳥類は、進化のどのような過程でフレームシフトが引き起こされたのかを議論・考察し、論文として発表した。 国内外での学会発表は、予定していた発表内容を変更したものの、計画通り計2回行った。論文執筆に関しては、研究の遅延のため、必要な実験を行いつつ、現在も論文を執筆中である。しかし、上記の通り、別の内容で論文を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
9に記載した通り、RCASウィルス法を用いた遺伝子発現系による、当初予測された結果を得ることができなかったためである。平成24年度は、実験時間の多くを、このRCASウィルス法の確立とそれを用いた実験に費やしたため、研究に大きな遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、鳥類の指の本数の決定と、指のアイデンティティーに関する発生メカニズムを解明することが目的である。しかし、研究の遅れが生じていることから、平成25年度は、指の本数の決定について、主に研究していきたい。それは、指のアイデンティティーに関する研究については、9で述べた通り、古生物学との融合研究に方向性が変更されており、この研究については当研究室の、私を含む複数のメンバーで研究を進めることになったためである。 本年度は、鳥類の指の本数決定に関する発生メカニズムに関して、過去の実験結果と平成25年度に得る結果をまとめて、論文を発表する。
|
Research Products
(6 results)