2012 Fiscal Year Annual Research Report
格子ボルツマン法による流動場および音響場の同時解析技術の確立
Project/Area Number |
12J06308
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
草野 和也 九州大学, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 空力音 / 低マッハ数流れ / 格子ボルツマン法 |
Research Abstract |
昨年度はこれまでに開発した格子ボルツマン法に基づく流動場と音響場の同時解析手法を用いて検証のための計算および計算手法の改良を行った. 開発した計算手法を用いて低レイノルズ数の円柱まわりの流れから発生するエオルス音の計算を行った.本計算手法では計算格子として様々な解像度の直交格子を組み合わせたものを用いるので,格子解像度の不連続面において接続方法に問題がないか検証した.物体適合格子を用いた計算結果と比較して十分な精度で計算できることが分かった.この研究成果は日本機械学会2012年度年次大会および5ht International Symposium Fluid Machinery and Fluids Engineeringにおいて口頭発表した. 次に,より実際の機械まわりの流れに近いレイノルズ数が1.0×10^5の単独翼まわりの流れの計算を行った.本計算手法は乱流境界層に起因する高周波数の空力音を従来の流動場と音響場を分離して計算する手法に比べて高精度に計算できることが期待されるので,その検証を目的とする.まずは流れ場が再現できるか検証を行った.検証のためのデータは文献から取得した計測結果を用いた.境界層内の速度に関してその平均値分布および分散値分布が計算結果と計測結果で良い一致が得られた.本計算手法により翼周りに発達する乱流境界層が精度良く計算できることを示すことができた.また,格子分布や解像度の計算結果へ与える影響も調査した.この研究成果は第90期日本機械学会流体部門講演会および第26回数値流体力学シンポジウムにおいて口頭発表した.さらにASME 2013 Fluids Engineering Division Summer Meetingにおいて口頭発表する予定である. 単独翼に対して流動場の計算精度の検証は完了したので,今後は音響場の予測精度を検証する予定であるが,その前に計算手法の改良を行った.これまで使用してきた計算モデルは流体のエネルギー保存を考慮しないモデルであったが,音響場の計算では低マッハ数流れであってもエネルギー保存を考慮する必要あると考え,新しいモデルの導入を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は格子ボルツマン法による新しい計算手法を実際の回転機械に適用することを計画していたが,本年度は単独翼においての計算精度の検証までにとどまった.これまで開発した計算手法に対して,新たにエネルギー保存式を満足する計算モデルを取り入れるのに時間を要した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は単独翼から発生する音響場の予測精度を評価する.従来の流動場と音響場を分離して計算する手法に比べて高周波数の音の予測精度が向上するか確認する.また,格子ボルツマン法にはエネルギー保存式まで考慮するモデルと考慮しないモデルがあり,後者の方が計算量が少ない.低マッハ数の流れ場の計算においてはエネルギー保存式を考慮しないモデルで十分であるが,音響場に関しては明らかではない.両者の結果で音響場の予測結果にどのように違いが出るのかを調査する.その後,最終的にはターボ機械のような回転機械に適用することを目指しているので,移動物体周りの流れを計算するためのコード開発を行う.
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Research Products
(5 results)