2013 Fiscal Year Annual Research Report
部位特異的連結反応を介した分子配列による高次タンパク質集合体の創製
Project/Area Number |
12J06340
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森 裕太郎 九州大学, 工学研究院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | biorefiner / biomass / enzymatic saccharification / DNA / Designer cellulosome / avidin-biotin interaction |
Research Abstract |
自然界ではバイオマス分解酵素群を高度に集積化させた複合体"セルロソーム"を形成することにより、温和な反応条件下で糖化反応効率を向上させている。セルロソームは触媒タンパク質であるセルラーゼ、ヘミセルラーゼ等の酵素が、相互作用を行う足場タンパク質であるコヘシンとドックリンとの特異的相互作用により高度に集積した構造を有している。 本研究においては2つの異なる戦略によって結晶性セルロースの糖化効率を向上させることを目的とし、2種類の人工セルロソームの創製を行った。まずDNAを足場とし、複数のセルラーゼが提示されたデザイナーセルロソームを構築した。酵素複合体を調製するにあたり、Gln (O)残基とLys (K)残基とを特異的に結合する酵素である微生物由来トランスグルタミナーゼによる架橋反応を介することとした。MTGにより認識されるO基質を有する修飾ヌクレオチトドを用いてPCR反応を行うことにより、塩基組成の異なるO残基導入足場DNAを調製した。調製した足場DNAと、遺伝子組換えによりMTGに認識される配列K-tagをC末端に付与したThermobifida fusca由来K-tag endo glucanase (EG)の架橋化反応により、人工セルロソーム'DNA-(EG)_n'の構築を行った。その結果、遊離のEGと比べて、DNA-(EG)_nを形成することにより、5.7倍の分解効率向上を達成した。 次に天然のセルロソームの構造を模した1次元状集合体形成のために、SAの4次構造に合わせた4分岐型の新規ビオチン化基質O-biotin_4を設計し、アビジンの一種であるストレプトアビジン(SA)と混合させることで人工セルロソームの形成を試みた。調製したビオチン修飾EGとSAを混合したところ、avidin-biotin相互作用により、1次元状超巨大酵素集合体が得られることを見出した。即ち、SAの4次構造に合わせた新規リガンド分子を設計することによって、天然セルロソームの構造を模倣した自己集合性人工セルロソーム'(EG-SA)_n集合体'の構造制御に成功した。この人工セルロソームを用いてAvicelの糖化反応を行い、集合体形成時のタンパク質ユニットの組成を変えることで、現在、遊離のEG系と比較して最大2.6倍の増強効果を得るに至っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に於いて記載した二年次の研究の目的として挙げた目標は、概ね達成できた。本年度はDNA上にセルラーゼを固定化し人エセルロソームを形成した世界で初めての報告として、論文を投稿するに至った。後半の自己集合を用いた人工セルロソームの構築に付いても精力的に研究を行っており、前半と会わせて本年度で7件の学会発表をするに至っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究に於いて設計した一次元状酵素集合体は、現在バイオリファイナリー社会の実現に向けた検討を主に行っているが、本年度はその応用として他の系、例えば検出系などに向けて行きたい。また自然界に置ける酵素集合体の反応を見てみるといわゆるカスケード反応と呼ばれる複数の酵素が連鎖的に反応を行っているため、これを模倣し2種以上のタンパク質酵素を同時に集合体化し、その機能を飛躍的に向上させる様な系の構築を行いたい。
|
Research Products
(8 results)