2012 Fiscal Year Annual Research Report
アンモニアphoto-SCRおよびphoto-SCOに有効な実用的高速触媒の開発
Project/Area Number |
12J06351
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 旭 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アンモニア脱硝 / 光触媒 / 二酸化チタン / De-NOx / 温度効果 |
Research Abstract |
本研究では,実用レベルの高いガス流速条件下で,アンモニアを還元剤として用いたNOの選択還元(アンモニア脱硝,NH3-SCR)に高活性を示す新規光触媒反応(photo-SCR)系の構築を目的としている.当初の計画通り,選択溶解析出法を用い,400℃以上の高温で焼成後にも高比表面積を維持したTiO2光触媒の合成に成功した.調製した触媒の活性試験を行ったところ,比表面積を増加させても活性はほとんど変化しなかった.比表面積が増加することで,反応ガス分子の吸着量は増加すると考えられるため,本触媒系では反応ガスの吸着以外の過程が反応速度を支配していると考えられる.つまり,本検討結果から,本触媒系の高活性化のためには,反応ガスの吸着以外の反応過程を促進する必要があることが示唆された.これまでの検討から,本反応の律速段階は反応中間体であるNH2NO種の分解過程であることがわかっている.そこで,NH2NO種の分解過程の促進による反応活性の向上を狙い,photo-SCRにおける反応温度の影響を検討した.NO転化率は反応温度に大きく依存し,433Kで最大(84%)となることがわかった.最高活性が得られた433Kにおいて,反応の時間経過に伴う触媒の失活は観察されず,本触媒は温度をかけた条件においても非常に安定である.また,反応速度論解析から,各温度領域で反応速度を支配しているファクターを明らかにした.光触媒反応に対して,流通型反応装置を用いた反応速度論的検討を行った例は少なく,本研究は光触媒反応の理解という観点でも意義深いものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
アンモニア脱硝に高い活性を示す光触媒の開発を目的として,高温焼成後でも高比表面積を維持したTiO2光触媒の合成を行った.TiO2の高比表面積化には成功したが,活性試験の結果,比表面積を上げることは活性の向上には結びつかなかった.この結果から本反応の高活性化のためには,反応ガスの吸着以外の過程を促進する必要があることがわかった.この知見を元に,中間体の分解過程を反応温度の効果によって促進することで,反応の高活性化に成功した。また,反応速度論解析から,各温度領域で反応速度を支配しているファクターを明らかにした.初年度の計画として,高活性な触媒系の探索を挙げていたが,それだけでなく反応機構に踏み込んだ検討を進め,その結果が査読付きの国際誌に受理されたという点で,当初の計画以上に進展したと判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で,TiO2上への反応ガスの吸着量を増加させても,反応速度は向上しないことがわかった.これは,活性向上のためには反応ガスの吸着過程以外の吸着分子の光励起過程や生成物の脱離過程を促進する必要があることを示唆している.光励起過程の効率を上げるためには,利用できる光の波長を拡大することが有効である.既に,色素でTiO2を修飾することで,これまでは利用できなかった可視光照射下で反応が進行することを見出している.今後は,色素の種類や量の最適化と反応機構の解明を行い,より高活性な色素修飾光触媒の開発を目指す.
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Research Products
(6 results)