2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J06400
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 翼 北海道大学, 大学院・理学院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | p-調和関数 / 円錐領域 / 調和測度減衰条件 / Modulus of continuity |
Research Abstract |
ユークリッド空間内の滑らかな境界を持つ円錐領域上のp-Laplace方程式(p>1)に対する特異解の解の解析を行なった.この研究は距離測度空間における非線形問題をユークリッド空間のp-調和関数として具体化し,より精密な結果を導こうとするものである. 滑らかな境界を持つ円錐領域上のp-Laplace方程式(p>1)に対する特異解として,円錐領域内でp-調和で,境界条件として円錐領域の頂点または無限遠方で∞,それ以外では0になるものを考える.Stretching operatorと呼ばれる作用素を用いることによって,これらの特異解は変数分離された形で与えられることを示し,そこから発散のオーダーを求めることが可能である.さらに,これらの特異解は定数倍を除いて一意になることを証明した.特に,平面上のsectorを考える場合は,これらの特異解がpとsectorの開きから定まる関数として具体的に書けることを示した.さらに,これらの特異解を用いることで,滑らかな境界を持つ円錐領域のp-調和測度に関してある減衰条件を満たすことが示せる.このp-調和測度の減衰条件とp-調和関数の大域的な連続性(たとえば,Holder連続性)との間には密接な関係があり,この減衰条件を調べることは非常に重要である. この研究内容については,第37回偏微分方程式論札幌シンポジウム,第14回北東数学解析研究会で発表を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ユークリッド空間内の円錐領域内の特異解についてはある程度を結果を出すことができたが,一般の距離測度空間への応用についてまだよくわかっていないため.また,この内容で論文にするためにはもう一段階ブラッシュアップが必要であると考えているため.
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Strategy for Future Research Activity |
ユークリッド空間内の円錐領域内の特異解について,平面領域では具体的な関数として与えることができたが,3次元以上では具体的な関数で与えることができていないので具体的な関数表示を与えたいと考えている. また昨年度末より,放物型方程式と楕円型方程式および確率論が交差する領域について研究を行なっており,複雑領域のスケール不変なHarnack不等式やMartin境界の問題について取り組みたいと考えている.
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Research Products
(6 results)