2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J06403
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
毛利 泰彰 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 毛包幹細胞 / 色素幹細胞 / 加齢 / 老化 / 皮膚 / ニッチ |
Research Abstract |
【研究計画I】加齢やゲノム損傷に伴う毛包幹細胞の組織学的解析の進展状況 ・加齢に伴い毛包幹細胞においてゲノム損傷応答が起こっている事を確認した(前年度)。 ・ゲノム損傷(加齢)にともない毛包幹細胞が表皮分化している事が明らかとなった(毛包幹細胞の運命追跡実験)。 ・加齢したマウスにおいて、毛周期の進行にともない毛包幹細胞が枯渇し、結果として脱毛することを明らかにした。 ・加齢したマウスの毛包幹細胞細胞において細胞老化は観察されなかった。 ・『若齢マウス』と『加齢マウス』の毛包幹細胞から抽出したRNAを用い定量PCRを行ったところ、c-mycやNotchlなど表皮角化細胞の分化に関わる遺伝子の発現変化も見出だした。 →c-mycはWntシグナルのターゲット遺伝子である事から、加齢マウスの毛包幹細胞におけるWntシグナルという点に着目し、Wntシグナルが亢進しているマウスを導入し、現在解析を行っている。 毛包幹細胞における遺伝子の発現変化にも着目し研究を進める。しかしながら、候補分子からのアプローチだけでは限界があり、また想定外の発現変化を見落とす可能性が高いため網羅的な解析を行う事を視野に入れている。 【研究計画II】加齢による毛包幹細胞での遺伝子発現変化の解析の進展状況 Step1)セルソーターを利用し毛包幹細胞を純化する実験系を確立した(前年度)。 Step2)『若齢マウス』と『加齢マウス』から毛包幹細胞をセルソーターにより純化し、定量PCRを行う事で毛包幹細胞での遺伝子の発現変化を解析した(研究計画I参照)。 Step3)抽出したRNAを用い、マイクロアレイにより網羅的な遺伝子発現解析を行い、毛包幹細胞を制御する因子の特定を試みる。加えて、色素幹細胞にも着目し、毛包幹細胞において発現し色素幹細胞のニッチ因子として働く因子の特定も試みる(準備中)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの毛包幹細胞において、加齢に伴いゲノム損傷応答が蓄積している事を見出だした。そして毛包幹細胞がゲノム損傷を受けると、毛包幹細胞は自己複製能を失い、毛包幹細胞の枯渇による脱毛を示す事を見出だした。また加齢したマウスの毛包幹細胞においてc-mycやNocth1などの表皮角化細胞の分化に関わりを持つ遺伝子が発現上昇している事、加えてWntシグナルが亢進している事を発見し、分子レベルでの解析もさらに進んでいる。組織レベル、分子レベルでの解析はおおむね順調に進んでいると考えている。今後は、純化した毛包幹細胞を用いてマイクロアレイ解析を行う事で、加齢に応じて、毛包幹細胞が分子レベルでどのような変化を示すのかさらなる理解が進むと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
加齢に伴う毛包幹細胞の変化の本質を解明すべく、毛包幹細胞における遺伝子の発現変化にも着目し研究を進める。候補分子からのアプローチだけでは限界があり、また想定外の発現変化を見落とす可能性が高いため網羅的な解析を行う事を視野に入れている。そこで、『若齢マウス』と『加齢マウス』から純化した毛包幹細胞を用いてマイクロアレイ解析を行い、毛包幹細胞を制御する因子の加齢にともなう変化の解析を試みる。加えて、色素幹細胞にも着目し、毛包幹細胞において発現し色素幹細胞のニッチ因子として働く因子の特定も試みる。
|
Research Products
(5 results)